家庭菜園・きほんの「基」

べたがけ栽培の効果と使い方を教えてください

指導◎川城英夫(元JA全農 耕種総合対策部技術主管)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Qべたがけ栽培の効果と使い方を教えてください

A たねをまいた後の畝や作物の上に直接、被覆資材をかけて栽培することを、べたがけ栽培といいます。
 被覆資材は、光をよく通す性質と通気性をあわせもつものが使用されるため、換気が不要です。支柱もいらないため、手軽にかけられることが特徴です。
 ベたがけ栽培に適するのは、草丈が比較的低い野菜で、コマツナなどの葉菜類、コカブやダイコンなどの根菜類、エダマメやラッカセイなどのマメ科野菜です。

〇季節で変わるべたがけ資材の種類
 べたがけに使用する資材は、おもに不織布が用いられます。気温が低い秋から春には、吸湿性があり保温性が高い「長繊維不織」というタイプのものが使用されます(写真1)。
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【写真1】 たねまき後に長繊維不織布をべたがけをして発芽と初期生育を促す

 気温が高い時期は、害虫や風による被害防止を主な目的として、より通気性が高い「割繊維不織布」(写真2)のほか、防虫ネットや寒冷紗が使われます。
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【写真2】 コカブに割繊維不織布をべたがけして栽培。おもな目的は虫害防止

〇べたがけの効果
1.発芽と生育を促す、寒害を防止する
 べたがけはさまざまな場面で使われますが、その一つが保温による発芽と生育の促進です。草丈の低い葉菜類や根菜類に不織布をべたがけすれば、春のたねまきを早めることができます(写真1)。
 また、低温期の野菜の生育促進(写真3)や冬の寒害防止に利用できます(写真4)。
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【写真3】 春まきダイコンの発芽と生育促進をするため、長繊維不織布をべたがけ

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【写真4】 冬のレタスの寒害を防止するため、割繊維不織布をべたがけ

2.防風・防虫・防鳥
 コマツナなどの葉菜類やコカブやダイコンなどの根菜類は、台風前に防虫ネットや寒冷紗などで茎葉が動かないようにべたがけすれば、強風によって茎葉が折れたり傷つくのを防ぐことができます(写真5)。
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【写真5】 台風前に防虫ネットをべたがけしたダイコン。べたがけは台風被害の防止に高い効果がある

 気温が高い時期には虫害が多発しますが、たねをまいたら直ちに割繊維不織布や防虫ネットでべたがけすれば、虫害を防止できます(写真2)。
 エダマメやラッカセイなどマメ科野菜をたねまきしたあと、べたがけをすれば鳥害を防げます。本葉が出たら資材を除去します。

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2025.01更新

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