コラム 記事一覧

「食」と「農」のエッセイ

日本ペンクラブ会員の著名人によるリレーエッセイ

第53回 柴田よしきさん
育つ力と育てる愛

著者のプロフィールはこちら

 少し前から小さな庭のある借家で暮らしている。老父のそばに住もうと引越しを決意して物件を探していた時、建物の古さや狭さ、風呂に追い焚き機能が付いていない等々の瑕疵に目をつぶってでもこの家に決めたのは、庭があったから。引越し前に住んでいたのは専用庭の付いたマンションだったので、花の鉢がたくさんあり、庭のない物件では移住が難しかったのだ。
  その庭で毎年、プランターや植木鉢に野菜の苗を植えている。庭とは言え借り物なので、苗を地植えするのは躊躇われ、また、台風が来ても鉢植えならば避難が簡単、と思うからだ。定番のトマト、ゴーヤ、ピーマン。それに花が美しいのでオクラも。茗荷、胡瓜。青紫蘇やバジルなどのハーブ類。
  それなりに育つ苗もあれば、ほとんど実をつけずに枯れてしまったものもある。それでもなんだかんだで、夏野菜の自家消費分の三分の一くらいは、ママゴトのような家庭菜園でまかなっている。青紫蘇などは勝手に種を飛ばして庭中に増えてしまった。
  それでも黄金虫の幼虫に根を食われたり、びっしりと付いたアブラムシやカメムシのせいで元気がなくなってしまったり、日が当たり過ぎて高温障害を起こしたりと、毎年災難がふりかかる。苗代、肥料代、土の再生材代、旅行で留守にする時に便利屋さんに水やりを頼むお代と、経費の方が収穫をはるかに上回っているのは明白で、労力も考えると、収穫した野菜はかなりお高いものについている。趣味と割り切らなければやってられない。
  比して、スーパーに並ぶ野菜のなんと見事なこと、なんと安価なこと。買い物のたびに、小さな感動をおぼえてしまう。しかも季節はずれでも毎日買うことができるのだ。
  お遊びの家庭菜園でも、自分でやってみて初めて、市販される野菜もみな生きものなのだ、と実感した。それらは愛しまれて育てられ、祈りと共に出荷されたのだ。
  野菜とは、育つ力と育てる愛の結晶である。野菜を食べることは、育つ力、育てる愛に触れること。その喜びを噛み締めつつ、今日もたくさん野菜を食べる。
  いただきます、と手を合わせて。

イラスト:はやしみこ

柴田よしき(しばた よしき)

東京生まれ。1995年横溝正史賞を受賞、『RIKO-女神の永遠』で作家デビュー。ミステリーを中心に、SF、時代小説など幅広く執筆。趣味は蝶の写真を撮ること、プロ野球観戦、映画鑑賞。映画は年間200作ほど観ます。プロ野球は東京ヤクルトスワローズを応援。

柴田よしき (しばた よしき)
「あんの明日 お勝手のあん」
角川春樹事務所
日本ペンクラブ

日本ペンクラブとは、詩人や脚本家、エッセイスト、編集者、小説家など、表現活動に専門的、職業的に携わる人々が参加、運営する団体です。
https://japanpen.or.jp/

なるほど全農

食と農についての「なるほど」な情報をお届け

91農業 ~新しい形の農業参加~【労働力支援】
農的生活を1割取り入れてみませんか?
気軽に参加できる91農業を推進しています

農家の減少や高齢化などにより、農業現場の労働力不足は年々厳しさを増しています。
全農は、JAグループ、パートナー企業や行政など関係機関とともに、全国労働力支援協議会を2022年3月に設立しました。
同協議会では、生産現場を支援する取り組みとともに、さまざまな人がライフスタイルに合わせて農業にかかわる「91(きゅういち)農業」をキャッチコピーに、農業に縁がなかった人が気軽に働ける環境づくりを提案しています。

 農業現場の労働力確保へ向けた取り組みは、全国を6地域に分けたブロック別労働力支援協議会によって進められてきました。新たに設立された全国労働力支援協議会(以下、協議会)では、各ブロックで培ったノウハウや課題を集約し、全国規模での検討・実践を行っています。特に力を入れているのが「パートナー企業連携による農作業請負」です。農作物の定植や収穫など、一時的に人手を必要とする農家からの依頼を受けて、JAや全農が取りまとめてパートナー企業に依頼し、パートナー企業が雇用契約を結んでいる人材でチームを編成して、作業にあたる仕組みです。生産者・JA事業を支援し、農業生産基盤の維持に向け、この取り組みの拡大を進めています。
 では、参加者はどのような形で農作業をするのでしょうか。2021年4月からスタートした「さくらんぼ収穫」の農作業受託事業を紹介します。この事業は、全農山形県本部が全体のコーディネート、連携する株式会社JTBが人員募集・シフト調整して受託した農作業を行い、参加者はJTBと雇用契約を結びます。参加者は1日単位で勤務でき、勤務日も選択可能です。
 現場では、3~4人でチームを組んで収穫や箱詰めを実施。作業経験のある参加者が必ずチームに入って指導するので、農作業未経験でも安心です。一方、農家は作業内容を教える時間が必要なくなるので、その時間を自分の作業に充てられます。参加者の賃金は時給制ですが、農家が支払う料金は箱詰めした製品を重量で計測する出来高払い。参加者は働いた分が収入になり、農家は成果に見合った分の支払いをするという明解な報酬・賃金体系です。
 生産現場にとっては繁忙期など必要な時のみ人手を確保でき、農業に関心のある人や移住先で仕事を探す人にとっても参加のハードルが低い。労働力不足に悩む生産現場の支援と地域の雇用創出が両立する関係を目指しています。
 「ちょっとやってみたい」と思ったら、いつでもチャレンジできる点も魅力です。協議会では、ライフスタイルの1割に農業を取り入れる「91農業」を提唱しています。農業を本格的に始めると気負うのではなく、副業や子育ての隙間時間や、生活のゆとり時間に、少し農業に触れてみる…そんな気軽な気持ちで始めてみませんか。
 SDGsなど多様性の尊重が求められる今、幅広い世代との交流や日常と異なる体験は、考え方の幅を広げ柔軟性を高めるきっかけにもつながります。生活に少し農をプラスする、隙間時間に少し地域で働く。今、そんな新しい形での農業へのかかわり方が全国に広がっています。

1
2
山形県でさくらんぼの収穫支援を行う参加者
3

〇9本業1農業:休みの日に1日農業、新しい副業の形
〇9育児1農業:子育てしながら一時期に農業、新しいパートの形
〇9旅行1農業:旅行の1日に農業、新しい旅行の形
〇9夢追1農業:夢を追いながら一時期に農業、新しいバイトの形
〇9自宅1農業:家以外に居場所が一つ増える、新しい就労支援の形

プロのおすすめレシピ

料理のプロがすすめる旬の食材を使ったレシピ

幅広の小麦麺を野菜やきのこなどと煮込んだ群馬の郷土料理おっきりこみ

料理◎大森いく子 撮影◎黒部徹

1人分:約220kcal 調理時間:約40分

材料4人分

  • だいこん 150g
  • にんじん 1/2本
  • さといも 2個(120g)
  • ごぼう 1/2本
  • 生しいたけ 3枚
  • 長ねぎ 1本
  • 油揚げ 1枚
  • 幅広のゆで小麦麺 2袋(1袋=300g)
  • だし汁 10カップ
  • しょう油 大さじ4
  • 大さじ2
  • みりん 大さじ2

作り方

  1. だいこん、にんじんは皮をむき、2~3mm厚さのいちょう切りにする。さといもは皮をむき、食べやすい大きさに切る。ごぼうは皮をこそげ、斜め薄切りにする。しいたけは軸を切って5mm幅に切る。長ねぎは5mm幅の斜め切りにする。

  2. 油揚げは熱湯をかけて水気を絞り、短冊切りにする。

  3. 鍋にだし汁を入れて火にかけ、沸騰したら、長ねぎを除いた12を加えて中火で野菜に火が通るまで煮る。

  4. 3にしょう油、酒、みりんを加えて、麺を加え、2~3分煮たら1の長ねぎを加えてひと煮立ちさせ、できあがり。

ココがポイント

本来は家庭で手作りした無塩の生麺を、ゆでずにそのまま煮込みます。
市販の幅広のゆで麺を使って手軽に楽しめるようにしました。

料理の基本

切り方・煮方・揚げ方など調理の基本をプロが伝授

ピクルスを作る

料理◎大森いく子 撮影◎黒部徹

ピクルスは野菜を酢漬けにしたもので、西洋の漬物といわれています。
料理のつけ合わせや箸休めに作っておくと重宝します。

作り方

  1. 切る

    保存瓶は熱湯消毒して乾燥させておく。野菜は瓶の高さに合わせて、スティック状に切り、瓶に詰める。【目安】きゅうりは長さ半分にし縦4等分、にんじんは長さ半分にし縦6~8等分、たまねぎはくし切り。

    1
  2. ピクルス液を作る

    鍋に酢、水、砂糖、塩、唐辛子、ローリエ、粒こしょうを入れて、中火にかける。かき混ぜながら砂糖を溶かし、2分程沸騰させる。

    2
  3. 液を注ぐ

    野菜を詰めた瓶に、熱々の液を注ぐ。粗熱がとれたら蓋をし、冷蔵庫で保存する。

    3
  4. できあがり

    2~3日後からおいしく食べられます(写真は3日後)。日ごとに変わる風味をお楽しみください。

    4

●しっかりした食感の野菜(他に大根やカリフラワーなど)がおすすめです。香りづけにはローリエのほか
クローブやディルなどお好みのハーブでも楽しめます。
瓶の代わりにジッパー付の保存袋でも作れます。

タルタルソース

全量:約760kcal 調理時間:約10分(ピクルスを作る時間除く)

材料

  • ●ピクルス(500mlガラス瓶2本分)
    • きゅうり 1本
    • にんじん 1本
    • たまねぎ(小) 1個
    • セロリ 1/2本
    • パプリカ(赤) 1個
  • ピクルス液
    • 2カップ
    • 1カップ
    • 砂糖 120g
    • 小さじ2
    • 赤唐辛子 2本
    • ローリエ 2枚
    • 黒粒こしょう 20粒
  • ●タルタルソース(作りやすい分量)
    • 好みのピクルス(きゅうり、たまねぎは必ず入れる) 約120g
    • ゆで卵 3個
    • マヨネーズ 大さじ6
    • 練りからし(好みで) 小さじ1
    • 少々

作り方

  1. 上記を参考にピクルスを作る。

  2. ピクルスを5mm角に切り、1カップ分用意する。

  3. ゆで卵は黄身と白身に分け、白身は粗くみじん切りにする。

  4. ボウルに23の白身、マヨネーズ、からし、塩を入れて混ぜ合わせる。

  5. 4に黄身をほぐしながら加え、軽く混ぜ合わせる。

ふるさと探訪

日本各地の農畜産物を産地からリポート

バランスのとれた味わいと豊かな香り足柄(あしがら)

文◎編集部 撮影◎磯野博正

神奈川県西部に位置する丹沢・箱根山麓一帯で生産される「足柄茶」は、関東大震災(1923年)の震災復興策として栽培が始まりました。
お茶栽培に適した気候風土と、生産から製造、販売まで一貫システム化による品質の高さで、「かながわブランド」や「神奈川名産100選」などに登録され、神奈川県内を中心に親しまれています。
目に鮮やかな緑の茶畑が斜面に広がる産地を訪ねました。

マスコットキャラクター金太郎

収穫適期を見極め高品質なお茶に

1
「一年間丹精込めて育てたお茶です。渋味と甘味のバランスがよいのでたくさんの人に飲んでもらいたいです」と、生産者の柏井良一さん

 丹沢・箱根山麓一帯は山間部ならではの昼夜の温度差に加え、冬場の季節風「丹沢おろし」など気候風土がお茶栽培に適しており、昭和40年代(1965年~)には一大茶産地が形成されました。
「この辺りは春先に霧が発生しやすいんです。お茶にはうま味成分のテアニンが含まれていますが、テアニンは日光に当たると渋味成分のカテキンに変化します。霧が日光を適度に遮ることでそれを制御でき、渋味と甘味のバランスがよいお茶となります。主な栽培品種は、国内で一番生産量の多い『やぶきた』を中心に、早生でうま味成分の強い『さえみどり』、晩生ですっきりした香味の『おくみどり』などがあります」と説明してくれた、株式会社神奈川県農協茶業センター部長の加藤 洋さん。

2
二人刈りの収穫機を使って収穫。最低でも4人の人出が必要です

 一番茶の収穫が始まったという、生産者の柏井良一さんの茶畑に案内していただきました。
「うちは1972~1973年頃に先代がお茶の栽培を始め、私が継いでから柑橘畑を茶畑に転化させながら少しずつ栽培面積を広げてきました。今は約70アールの面積で『やぶきた』と『さえみどり』を栽培しています。一番茶の収穫はGW明け頃までで終了。6月中~下旬頃から二番茶の収穫となりますが、うちでは一番茶のみの収穫です」と、柏井さん。
 新芽は「一芯五葉」が収穫適期といわれています。葉が一枚開くのに4日かかるので、新芽が出てから20日後辺りを収穫の目安とします。

3
先端に芽があり、その下の互い違いに付く5枚の葉の部分を「一芯五葉」といいます

 「一番心配なのが遅霜です。新芽が出てから霜が降りると枯れてしまうので、茶畑に送風機を設置して5℃以下にならないよう高い位置の温かい空気を対流させて防ぎます。収穫は曇天でそれほど気温が高くない日を選んで行います。雨で茶葉がぬれたり、晴天で気温が高くなったりすると茶葉が傷みやすいため、新芽の状態・気候や天気などをみて、最適な摘採時期を見極めることが大変です」と、柏井さん。
 足柄茶の生産者は肥培管理や荒茶工場の管理・連携などによるトレーサビリティなど、GAP(農業生産工程管理)に取り組み、栽培暦に則った栽培や環境保全などを心がけ、生産者の高齢化や後継者不足の中で生産者同士の協力体制を整えて安全安心な栽培を行っています。

荒茶に加工後、茶業センターに一元集荷

4
収穫した茶葉はすぐに荒茶工場に持ち込まれ、蒸して発酵を止めます

 収穫した茶葉はすぐに荒茶工場に運び、蒸して、揉みながら水分を飛ばし、乾燥させて「荒茶」に仕上げます。
「茶葉は刈り取った直後から発酵が進むので、早く蒸して発酵を止め、品質低下を防ぐことが大事です。茶葉の生育具合は畑ごとに異なるため、その日の収穫量を見定めて工場の受け入れ態勢を整えます。一番茶の収穫は短期集中で、最盛期には夜通し工場を動かしていることもあります」と、茶業センターの加藤さん。
 こうして神奈川県下に22ヵ所ある荒茶工場で加工された茶葉は、茶業センターに一元集荷されます。
「荒茶の段階では茎や粉も混じり長さも不揃いです。当センターでは茶葉の形状、香り、水色(すいしょく)、味などを見極めてランク付けをし、お茶の風味と香りの決め手となる火入れ(焙煎)をして製品に仕上げる二次加工をします。品質ごとに分けて製茶し、消費者ニーズを踏まえてブレンドを行い、県内の直売所やスーパーなどへ直接販売しています」とのこと。産地のお茶を一元管理することで、安定した高品質のブランド茶となっています。
 湯飲みに注ぎ入れると、浅蒸し茶ならではの薄緑の色合いが鮮やか。ふくよかな香り、やわらかな甘味、アクセントのような苦味。待ちに待った新茶の季節到来、縁起物の一番茶をどうぞお楽しみください。
(取材:2022年4月下旬)

加藤 洋さん
「最近は急須のないご家庭も多いので、ティーバッグなどさまざまな商品を揃えています」と、(株)神奈川県農協茶業センターの加藤 洋さん。商品はオンラインショップでも購入可能

●(株)神奈川県農協茶業センター

【足柄茶】生産概要
生産者:約294名
栽培面積:約114ヘクタール
出荷量:約101トン(2021年度)
主な出荷先:神奈川県内
購入はこちら

[投稿]わが家のレシピ

読者のわが家の味を料理のプロが再現!

野菜を使った作り置きじゃがいもとキャベツといかのマスタード和え

埼玉県・松岡典子さん

1人分:約155kcal 調理時間:約25分

材料4~5人分

  • じゃがいも 2個(300g)
  • キャベツ 6枚程度(250g)
  • するめいか(生) 1杯
  • にんにく 1片
  • 塩麹 30g
  • 粒マスタード 大さじ1
  • 黒こしょう(粗びき) 少々
  • オリーブ油 大さじ2

作り方

  1. じゃがいもは皮をむいて1cm厚さの半月切りにして水で洗い、耐熱の器に入れてラップをふんわりとかけ、電子レンジ(600w)で4~5分加熱する。

  2. キャベツは一口大に切り、にんにくはみじん切りにする。

  3. するめいかは足、軟骨を抜いて洗い、皮をむいて一口大に切り、足は2本ずつに切り分ける。

  4. フライパンにオリーブ油、にんにくを入れて弱火で香りよく炒め、キャベツ、3、水大さじ2を加えて蓋をして2〜3分蒸し煮にする。いかに火が通ったら火を止め、1、塩麹、粒マスタードを加えて混ぜ合わせ、仕上げにこしょうをふる。

\皆さんの「わが家の味」を募集しています/

[投稿]わが家のレシピ

読者のわが家の味を料理のプロが再現!

野菜を使った作り置き揚げいんげんのねぎおかか和え

兵庫県・堀ノ内千恵子さん

1人分:約95kcal 調理時間:約15分

材料4~5人分

  • さやいんげん 300g
  • ねぎ 1本(100g)
  • 削り節 10g
  • だし汁 大さじ4
  • しょう油 大さじ2
  • 砂糖 ふたつまみ
  • 揚げ油 適宜

作り方

  1. さやいんげんはへたを切る。

  2. ねぎはみじん切りにする。

  3. 保存容器に2、だし汁、しょう油、砂糖を合わせておく。

  4. 揚げ油を180〜190℃に熱し、1を1/3量ずつ入れて1分程揚げて取り出し、残りも同様にする。

  5. 3に漬け込み、粗熱が取れたら削り節をふって和える。

\皆さんの「わが家の味」を募集しています/

[投稿]わが家のレシピ

読者のわが家の味を料理のプロが再現!

野菜を使った作り置きふきとさば缶のみそ炒め

岩手県・渡邊キミ子さん

1人分:約125kcal 調理時間:約20分

材料4~5人分

  • ふき 500g
  • さば水煮(缶詰) 1缶(200g)
  • 白いりごま 大さじ1
  • 砂糖 大さじ1/2~1
  • みそ 大さじ3

作り方

  1. ふきは鍋の大きさに合わせて長さを切り、塩(分量外)をふって板ずりし、たっぷりの熱湯に3~4回に分けて入れ、1~2分ゆでる。冷水に取って冷まし、皮をむいて3~4cm長さに切る。

  2. フライパンにさば缶の汁を入れて熱し、1を入れて中火で汁気を飛ばすようにして炒め、ごま、砂糖、みそを加えて混ぜ、さばの身を入れて炒め合わせる。

\皆さんの「わが家の味」を募集しています/

野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

キュウリ

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

キュウリはナスやトマトなど果菜類の中では成長が早く、栽培がやさしいので初心者におすすめです。
病気に強い接ぎ木苗を植えつけてたくさん収穫を楽しみましょう。
朝採りのおいしさは格別ですよ。

 原産地はインド西北部のヒマラヤ南山麓といわれ、生育適温は18~25℃です。植えつけは遅霜の心配がなく、最低地温15℃以上になった頃に行いましょう。根は空気を好んで浅く広がるので、乾燥防止と病気の原因となる泥はねなどを防ぐため、敷きワラをしたりマルチを張ると効果的です。
 病害虫の発生を防ぐため、高畝にして水はけをよくし、整枝や摘葉を行って日当たりや風通しをよくしましょう。また、成長が早いのでどんどん収穫して、適期を逃したものもそのままにせずに切り取り、株が疲れないように気をつけます。
 特に、葉の表面に粉をふいたような白い斑点が現れる「うどんこ病」や黄色い斑点が現れる「べと病」などの病気にかかるリスクが高いので、これらの病気に強い耐病性のある品種を選ぶと安心です。
 連作障害があるので、同じ畑は2~3年はあけましょう。

植えつけ

本葉2~4枚でがっしりした苗を選びます。畝にマルチを張り、植穴をあけます。植穴にたっぷり水を注ぎ、水がひいてから、根鉢をくずさないように植えつけ根元を軽くおさえ、株の回りに水やりします。霜の心配がある時はトンネルなどの保温対策をとりましょう。

支柱立て・誘引

蔓性のキュウリは成長すると相当な重さになり、風の影響なども受けやすくなるので、長さ2m位の支柱を使ってがっしりとした合掌式支柱かキュウリ用のU字支柱を立てましょう。蔓が伸びてきたらキュウリ用のネットを張って上へと誘引してやります。

整枝・摘芯

親蔓を真っすぐ伸ばし、下から4~5節目までの子蔓(側枝)はすべて摘み取ります。それより上からは2節を残して摘芯し、親蔓の1本仕立てにします。
親蔓が支柱の高さまで成長したら、それ以上伸びないように摘芯します。その後は放任してもかまいません。

追肥

一番果の肥大が始まった頃から、1m2あたり化成肥料(8-8-8)40gを施用し軽く土寄せします。蔓の伸び方や果実の肥大の様子を見ながら、こまめに追肥するのがコツ。2週間に1度位が目安です。土が乾いている時は追肥と同時に水やりすると肥料の効きが速くなります。マルチ栽培の場合はマルチの穴と通路際にも追肥してください。

収穫

成長が早く開花から1週間ほどで収穫を迎えます。長さ18~20cmの実をハサミで切り取りましょう。夜間、水分を吸収して大きくなるので朝採りがみずみずしくおいしいです。
曲がり果や先細り果などの奇形果ができてくると収穫終盤のサインです。

●土づくりワンポイントアドバイス

指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)

植えつけの2週間以上前に、1m2あたり完熟堆肥2kgと苦土石灰100gを散布し、深く耕しておきます(どちらも前作で施用していたら不要)。キュウリの根は横方向に広く張ります。畑全面を耕すように心がけてください。
元肥は植えつけの1週間前に、1m2あたり化成肥料(8-8-8)100gを散布し土に混ぜ込みます。


●キュウリの栽培スケジュール

(ベランダでも畑でも栽培できます)

スケジュール

\皆さんの家庭菜園エピソード募集中/

家庭菜園Q&A 肥料編

肥料・土づくりのよくある質問に先生が回答

指導◎岡本 保(JA全農 肥料研究室技術主管) イラスト◎かとうともこQ.たくさん種類のある肥料、どれを使ったら良いのか迷います。

 野菜栽培などに利用する肥料は、化学肥料と有機肥料に大きく分けられ、更に化学肥料や有機肥料の中にも、色々な種類があります。それぞれの特徴を生かした使い方について考えてみましょう。

1.化学肥料と有機肥料の使い分け

 作物の根は水に溶けた無機物の窒素、リン酸、カリなどを、水と一緒に吸収します。水に溶けないタンパク質や繊維質などの有機物は、直接吸収することができません。
 一般的な化学肥料はその有効成分が水に溶けやすい無機物であり、水に溶けて直ちに作物の根に吸収されます。このため効きが早く、葉根菜類から果菜類まであらゆる作物の元肥および追肥に利用できます。とくに生育期間の短いコマツナなどの葉物類の栽培には、早く効く化学肥料が適します。
 一方、有機肥料はその成分がタンパク質や繊維質などの有機物で、土の中の微生物に食べられて分解されて、無機物の窒素やリン酸などに変化してから、初めて作物に吸収されます。このため、効くまでに時間がかかります。その反面、効果が長く持続します。また、土の中の有用微生物を増やし、土の環境を改善する効果があります。徐々に効果を発揮するので、生育期間が長いトマトやナスなどの果菜類や、果樹の栽培に適します。また、有機質肥料は主に元肥に利用します。

2.化学肥料の種類と使い分け

 化学肥料には三要素、すなわち窒素、リン酸、カリのうち、一要素のみを含んでいる単肥(硫安、過石、塩化カリなど)と、二要素以上を含む複合肥料があります。現在園芸店等で市販されている化学肥料の多くは複合肥料です。複合肥料には窒素:リン酸:カリを各8%前後程度含む「普通化成(または低度化成)」と呼ばれる化成肥料(8:8:8など)と、窒素:リン酸:カリを各14%前後程度(三要素の合計で30%以上)含む「高度化成」と呼ばれる化成肥料(14:14:14など)があります。これらのうち、まきむらや肥料焼けが起こりにくく、あらゆる種類の作物に使いやすいのは、三要素を8%前後程度含む、普通化成(8:8:8など)です。
 化学肥料には液肥と呼ばれる液状の肥料もあります。液肥は肥料成分が既に水に溶けているので速効性で、元肥、追肥のどちらにも使えます。果菜類にも葉根菜類にも有効な万能肥料で、効きが早いのが一番の特徴です。葉面散布(葉の表面に霧吹きなどで肥料を吹き付けて、葉から直接吸わせる方法)にも使えます。葉面散布は根が弱っていて肥料が根から吸えない状態のときなどに、高い効果を発揮します。
 特殊な化学肥料としてCDU化成やIB化成といった、水への肥料成分(窒素)の溶け方を、化学的にコントロールした肥料もあります。これらは水にゆっくり溶けながら長期間効果を発揮するので、トマトやナスなどの生育期間が長い果菜類などの栽培に適します。

3.有機肥料の種類と使い分け

 有機肥料の中でもよく使われる、油かす、魚かす、鶏ふん、骨粉の特徴と使い方を以下に説明します。
 油かすの成分は、窒素:リン酸:カリ=5:2:1%前後で、窒素含量が相対的に高く、また有機肥料の中では窒素の効きが比較的早いのが特徴です。
 魚かすは同8:8:0%前後で、窒素とリン酸を同程度含みますが、カリを含まないのが特徴です。その他に、石灰を10%程度含みます。
 乾燥鶏ふんまたは発酵鶏ふんとして市販されている鶏ふんは、同3:5:2%前後で、有機肥料の中では窒素、リン酸、カリの3要素のバランスが比較的整った肥料です。ただし、石灰を10%程度含みます。このため多量に施用し続けると、土壌がアルカリ性化するので注意が必要です。
 骨粉は同4:20:0%前後でリン酸の含量が突出し、カリを含みません。また石灰を30%程度と多量に含む特徴のある肥料です。
 上記の有機肥料の成分値は、天然のものなので多少の変動があります。しかし傾向として把握した上で、上手に組み合わせて利用すると便利です。油かすはリン酸が少なく、魚かすや骨粉はカリを含まないので、油かすで窒素とカリを供給し、不足するリン酸を魚かすや骨粉で補うという組み合わせでの使い方が考えられます。鶏ふんは有機肥料の中では窒素:リン酸:カリのバランスが比較的よくとれてはいますが、上記のとおり石灰含量に注意が必要です。
 これらの有機肥料は、前述のとおり土壌中の微生物により分解されて、無機物の窒素やリン酸などに変化してから効果を発揮します。このため、施肥から作付けまで1~2週間程度の時間を置く(地温が低いほど長く)必要があります。

4.堆肥と肥料の役割の違い

 肥料の使い分けの話からは少し横道にそれますが、堆肥と肥料の役割の違いについて最後に述べます。
 「堆肥」はワラ、剪定屑、家畜糞などの原料を単独または混合して堆積し、数か月以上発酵させたもので、繊維質を多く含み、土の中の有用な微生物のエサとなり、土壌の保水性、排水性、通気性などの物理性を改善し、土を柔らかくする効果があります。即ち「堆肥」は作物の根が働きやすい快適な環境を、根の周りに整えるために施用するものです。
 一方、化学肥料や有機肥料などの「肥料」は、窒素・リン酸・カリなどの、作物の成長に必要な栄養分を土の中に補給するために施用するものです(有機肥料には土壌微生物を増やす働きも併せて期待できる)。人の衣・食・住に例えれば、「堆肥」は作物にとって「衣と住」のようなもの、「肥料」は「食」そのものです。

5.まとめ

 化学肥料「のみ」では、野菜を末長く健康に育てることは困難です。これは野菜が病気や害虫や気象災害などに負けずに、健康に育つためには、土壌中に多様な微生物が生息している必要があるからです。土壌中の微生物は団粒構造(2022年9月参照)の土壌を作り、土壌の通気性、排水性、保水性を高めてくれます。また植物病原菌の活動を抑える効果も期待でき、健康な野菜作りのために不可欠な存在です。土壌中で多様な微生物が活動するためには、そのエサとなる有機物が必要です。しかし、作物を栽培すると土壌中の有機物は徐々に消耗します。このため、作物を栽培する畑の土壌には、人が何らかの形で有機物を補給する必要があります。
 化学肥料だけでは土の中の有機物は消耗する一方です。しかし、化学肥料は効果が素早く現れ、元肥や追肥にいつでもどんな作物にも高い肥料効果を発揮します。なたね油かすや骨粉などの有機肥料は、肥料としてゆっくりと持続的に効果を発揮すると同時に、土壌中の有用微生物の増加にも役立ちます。牛ふん堆肥やバーク堆肥などの堆肥は、有用微生物のエサとなる有機物を効率よく土壌に補給し、作物の根にとって住みやすい環境を作るためには欠かせない存在です。化学肥料と有機肥料と堆肥とを、上手に組み合わせて利用することが、健全な野菜作りにつながります。

03

「食」と「農」のエッセイ

日本ペンクラブ会員の著名人によるリレーエッセイ

第52回 令丈ヒロ子さん
お米天国の年

著者のプロフィールはこちら

 この一年は我が家にとって、お米天国だった。何のことかというと、お米のプレゼントがこれでもかとばかりに続いたのだ。
 最初は、母の友だちから近江米が30キロ届いた。ご自身が持っておられる田んぼの作物だということだった。
 お米のつぶの歯ごたえがいい。冷ご飯で食べるといっそう味が濃い!弁当箱に詰めて仕事場に行ったけれど、もう毎日お昼ごはんが楽しみでならない。
 そんな風に喜んでいたら、児童文学の師匠である山中恒先生が、ピカピカの魚沼産コシヒカリをたくさん贈ってくださった!
 先生が信頼されている生産者さんのお米だけあって、白い宝石のように美しい。そして炊き立てのおいしさは、格別。一口ごとに幸せがあふれる。
 そこに兵庫県の親戚から、どかんとすごい量の新米をいただいた。
 母の郷里でもあるこの地方はもともと酒米を作っていた土地。とにかくお米がおいしい!
 慣れ親しんだ味でもあり、一口ごとに「おいしいなあー」と言ってしまう。
 食べると体が「来た来た!」と喜んでいるのがわかる。
 最後をかざるように届いたのが、町会からの高齢者対象のプレゼント……お米だった。
 2キロのコシヒカリの米袋を受け取って、ありがとうございますと深く頭を下げた。
 こんなにお米がたくさん贈られた年は58年間生きてきて、初めてだ。
 昨年も世の中は厳しく、疫病は完全に終息させる方法も見つからず、紛争、侵略戦争、地震に経済格差、ぞっとするような税金の話……不安の種がてんこもりだった。
 そこに個々の仕事や家族、健康の問題がかさなると、なんと不安の種類というのは、バラエティに富んでいて、いくらでも増えていくものだと、あきれ、感心してしまう(感心してる場合ではないけれど!)。
 そんな中で、おいしいお米に囲まれた暮らしは(文字通りお米袋に囲まれていた)何とも言えない豊かで安心感に包まれていた。福の神でもいらっしゃるような、ありがたーい、おめでたい感じ。
 不穏な状況の中、そのような日々をすごさせていただいたこと、お米を贈ってくださった方々、そしてそれらのお米を作ってくださった生産者さんたちに、深く感謝します。皆さん、お米天国の一年をありがとうございました!

イラスト:今井夏子

令丈ヒロ子 (れいじょう ひろこ)

1990年児童書作家デビュー。『若おかみは小学生!』シリーズ(講談社)は300万部を超すヒット作。劇場版アニメ化作品は第42回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞他、多数の受賞。成安造形大学、嵯峨美術大学客員教授。近著は『妖怪コンビニ』シリーズ(あすなろ書房)『病院図書館の青と空』(講談社)など。

令丈ヒロ子 (れいじょう ひろこ)
「病院図書館の青と空」
講談社
日本ペンクラブ

日本ペンクラブとは、詩人や脚本家、エッセイスト、編集者、小説家など、表現活動に専門的、職業的に携わる人々が参加、運営する団体です。
https://japanpen.or.jp/

なるほど全農

食と農についての「なるほど」な情報をお届け

花束で東北を飾ろう【東北六花】
季節の花がおうちに届く「楽しみ」を提案
~東北を元気にする応援団を募っています~

ガーベラ、ラナンキュラス、リンドウ、ダリア、トルコギキョウ。
四季折々、花があると部屋が華やぎ、気分をぐっと引き上げてくれます。
近年、イベント等の減少や簡素化で花の需要が減っています。
花を飾って楽しむことで、生産者への応援にもつながります。
気軽に楽しめる花の飾り方や、日持ちさせるコツを知って、毎日の生活に彩りをそえてみませんか?

 朝やさしい花の香りに包まれると、ふっと気持ちが和らいで穏やかな時を過ごせます。花には、リラックス効果があることが科学的にも証明されており、部屋に花があるとストレス時に高まる交感神経の活動が抑制されるといわれています。また、一輪あるだけで部屋に季節感が出ます。花のある生活は、まさに暮らしに潤いをプラスしてくれるといっても過言ではないでしょう。
 近年、葬儀の簡略化や母の日の贈り物の多様化などにより、花の消費は減少傾向にあります。一世帯当たりの年間切り花購入額は、最も高かった1997(平成9)年に比べて2021(令和3)年には約6割まで落ち込みました。新型コロナウイルス感染拡大後、卒業式や結婚式といったイベントの中止で消費機会がさらに減り、状況は一層の厳しさを増すばかり。野菜や果物と同様に花の生産者は土づくりを行い、毎日の水やりや温度管理に気を配り、余分な葉や蕾を取り除くなどの調製をして、花が一番美しくなる時期に消費者の手元に届くよう出荷します。花が誰かを勇気づけるように、悲しみを癒やすように、喜びを分かち合えるようにと願い、育てているのです。
 欧米では、老若男女問わず気軽に花を贈る習慣があり、花は生活に溶け込んでいるとか。日本でも、おうち時間の増加に伴い、花のある暮らしを楽しむ人が増えてきています。
 しかし、花を飾りたいと思っても「すぐ枯れてしまう」「うまく飾れない」と、躊躇する人もいるかもしれません。そんなときは、そのまま飾れるアレンジメントや、一輪挿しから始めてみましょう。1本だと寂しく感じるときは、同じ種類の花を数本にすると賑やかになり、明るい雰囲気になります。切り花を長持ちさせるポイントは、水切りと温度管理。水切りは、花瓶に移す前に水の中で根元から3cmほどの茎を斜めに切ることで、温度管理は、置く場所を柔らかな光の当たる涼しい場所にして気温の変化を小さくすることです。直射日光やエアコンなどの風が当たらないようにします。

1

 東北の花を飾ることで、東北の花き生産者を応援しようと、全農東北プロジェクトと株式会社シフラが共同企画した「東北六花」は、販売開始から2年が経ちました。東北ではトルコギキョウ、バラ、リンドウ、ガーベラなど多様な花が生産されています。
 「東北六花」の特長は、注文を受けてから花を詰め合わせることです。東北産にこだわり、プロの目利きで選別、花に合わせた加工を行って、鮮度の良い状態で発送します。商品は、普段使いにちょうど良いサイズの「自分で飾る」と、ラッピングを施し、贈り物としても喜ばれる「大切な人へ贈る」の2種類のバリエーション。花の種類や本数ではなく、用途に応じて選べるため、花に詳しくなくても注文しやすく便利です。
 また、東北六花ではインスタグラムも開設しています。発送した商品画像や購入者が「#東北を飾ろう」に投稿した内容も見られるので、購入時の参考になります。
 ご家族や大切な人へのプレゼントに、ご家庭でさっと飾って季節を感じ、癒しをプラスするアイテムとして、ぜひお試しください。