朝、お味噌汁が美味しい!
その幸せ感は格別だ。あたたか~いお味噌汁が喉から胃袋へと降りてゆく。そのプロセスのうっとりするような流れ。鼻腔をお味噌のにおいが刺激して、あゝ日本人に生まれて良かったと思う瞬間だ。この作り立ての味噌汁の美味しさは家族全員が共有している。
私は現在、娘家族と一緒に暮らしていて、小学生と幼稚園前の孫がいる。この幼子たちも、玄米か七分づき米を主食として無農薬や有機野菜中心に母親の手料理でうす味の食事をしていて、好き嫌いがほぼゼロ。そして全員、ご飯とお味噌汁が好きで、「いただきます!」の挨拶が終わると、先ずは味噌汁をすする。具は様々。常備はサッと入れるだけでOKのわかめ、あおさのり、ひじきなどの海藻類と豆腐や葉物の野菜。時に納豆の味噌汁の日もある。
このお味噌汁の基本にさくらいさんのお味噌がある。もう10年くらい前だろうか、無農薬有機派の知人から送られてきたのが初めての出会いで、大豆を彷彿とさせる香りといい塩辛くない味噌の味といい、一口でファンになり、以降、3、4パックずつ送っていただいている。嬉しいのはその時々でさくらいさんの作っている季節の有機野菜も一緒に詰めてもらえること。甘い新たまねぎ、枝豆、にんじん、近隣の店では見ないような青菜、そして大豆、等々。「豆はものぐさに煮させろ」と私の祖母が教えてくれた通り、大豆は急がず、まずは前の晩から水につけてふやかしてから、何度も火を止めてはゆっくり煮て最後にほんの少しメープルシロップを入れて出来上がり。孫が大好きで母親からスプーン3杯、と制限が入る。にんじんは2歳の子が「シャクライシャンのにーんじん」と茹でたままの輪切りを果物を頬張るような笑顔でパクパク。
「もしも~し」ネット通販ではなく電話で声を聴きながら注文できるのも良い。電話に出ないと何かあったのかな、と心配になり、「ハイハイ見城さん」と返事があるとほっとする。
ご主人と二人暮らしで農業と味噌づくりを続けるさくらいさんが今日も元気でありますように、家族みんなで願っている。


見城美枝子(けんじょう みえこ)
青森大学名誉教授。エッセイスト、ジャーナリスト。早稲田大学院理工学研究科博士課程単位取得。TBSアナウンサーからフリーに。海外取材56カ国。三越、テレビ朝日の社外取締役、JA全農役員等を務め、現在は全国農業会議所学識経験会員、農林水産業みらい基金理事、東京動物園協会理事等を務める。著書『会話が上手になりたいあなたへ』『ニッポンの食と農 この10年』等。

(一社)全国農業会議所