国産レモン発祥地ならではのこだわり
瀬戸田町は瀬戸内海のほぼ中央に位置し、生口島と高根島のふたつの島からなります。島の半分が傾斜地で日当たりがよく、年間平均気温は15・5℃と温暖、土壌は水はけのよい花崗岩で年間を通して降水量が少ないなど、柑橘栽培にとても恵まれた気候条件をそなえていることから、古くから柑橘類の栽培が盛んに行われてきました。レモン栽培は明治時代から始まったといわれ、国産レモン発祥の地とされています。当初は自家消費用でしたが、昭和に入ると瀬戸田をレモン産地にしようと園地の増殖が図られ、戦後のレモンブームを牽引するなど日本一のレモン産地として知られるようになりました。
広島県は国産レモン生産量の約5割を占め、国産の2割が瀬戸田町産です。露地栽培のレモンは5月中旬頃に花が咲き、実をつけて成長します。収穫時期は10月から翌年の5月までと長く、収穫する時期によって色や香り、酸味、果汁などそれぞれ違った特徴のあるレモンが楽しめます。
「端境期にあたる夏場(6月下旬~9月)はハウス栽培、1月~4月に収穫したレモンを鮮度保持フィルムで包装・貯蔵し6月~8月に出荷するなどして、1年中レモンを楽しんでいただける体制を整えています」と、JA三原柑橘事業本部せとだ柑橘販売課の片山武志係長。
露地栽培で10月から12月に出荷されるものとハウスレモンは皮が緑色の「グリーンレモン」で、早摘みのため爽やかな香りとスッキリとした酸味が楽しめます。そのまま木にならしておくと黄色く色づき、1月から5月までは酸味がまろやかで甘さが増し、果汁たっぷりの「イエローレモン」が味わえます。
また、環境への配慮と農薬や化学肥料を減らした特別栽培農産物の生産に取り組み、「せとだエコレモン」のブランドで出荷しています。せとだエコレモンは平成20年に特別栽培農産物として広島県から認証されており、果汁はもとより、果肉や果皮まで安心して丸ごと食べられると人気です。
規格外もすべて利用
●JA三原柑橘事業本部
「広島レモン」(せとだエコレモン含む)生産概要
生産者:418戸
栽培面積:107ヘクタール
出荷量:1340トン(2021年予想量)
主な出荷先:県内、関東、京阪神など