家庭菜園・きほんの「基」

全国の野菜産地では、同じ作物を永年連作していると思いますが、連作障害は発生しないのでしょうか?

指導◎岡本 保(JA全農 肥料研究室技術主管)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Q全国の野菜産地では、同じ作物を永年連作していると思いますが、連作障害は発生しないのでしょうか?

A ご質問のとおり全国の野菜産地では、同じ作物を永年連作しています。これは野菜を生産して販売するためには、栽培や流通のための設備が必要で、かつこの設備が野菜の品目ごとに異なるからです。各野菜産地は品目の転換を容易に行うことができず、大型設備を備えた大産地ほど品目は固定化し、特定の品目を連作することになります。
 そこで各産地では連作障害を回避するための様々な努力を行っています。連作障害の一番の原因である土壌中の病害虫の活動を抑えるため、薬剤による土壌消毒の他に、前月(2023年2月号)で紹介した①から⑥の対策を単独または組み合わせて実施し、薬剤の利用を最小限またはゼロに抑えながら、連作障害を回避しています。連作障害が起こりにくい品種の開発も進められています。
 また特殊な例として、その地域の自然環境が連作障害を抑える自然の力を有しているために、長く維持されている産地もあります。例えば、神奈川県の三浦半島地域のダイコン畑の土壌は、ダイコンの連作障害の原因の一つである「ダイコン萎黄病〈いおうびょう〉」の発病を抑える自然の力を持っている土壌であり、これが三浦半島のダイコン産地が長く維持されている理由の一つになっています。このように地域の気候風土に適した品目を栽培することも、連作障害の回避につながります。

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2023.03更新

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