堆肥の完熟・未熟は臭いでわかると聞きました。どのような臭いが完熟でしょうか?
上手に作った完熟堆肥は、少しかび臭いような土のような臭いがします。完熟堆肥と言えども、堆肥は堆肥なので多少の臭気はあります。しかし、極端な刺激臭や我慢のできない悪臭は、適切な管理のもとで作った完熟堆肥には、通常は感じません。
そもそも堆肥とは、原料となる家畜ふん尿、稲わら、落ち葉などの生の有機物を、山のように積んで、微生物によって時間をかけて分解させた後に残った、分解されにくい安定した有機物です。堆肥を作る微生物が活発に活動して、有機物を分解するためには、適度な水分や十分な空気(酸素)が必要です。このため堆肥の山は「切り返し」と呼ばれる攪拌を、2週間に1回程度の割合で頻繁に行なわなければなりません。また堆肥の山が乾きすぎているときは、適度な水分補給も必要です。堆肥を作る微生物が正しい管理のもとで活発に活動すると、堆肥の山の温度は70℃以上に上がり、作物に害を与える病害虫や雑草の種が死滅し、安心して畑にまける完熟堆肥になります。
堆肥原料の牛や豚のふん尿の臭いが強く残っているときや、アンモニアのような刺激臭を感じるときは、原料の有機物がまだ分解の途中で、未完成の状態の未熟堆肥です。ドブのような悪臭や酢のような臭いがするときは、堆肥の山の水分が多すぎるか、切り返しが不良などの、何らかの原因で堆肥作成中に酸素不足となり、堆肥を作る通常の微生物が窒息死し、代わって酸素不足でも活動可能な一部の微生物のみが、原料の有機物を中途半端に分解して、堆肥作りが上手く行かなかった可能性があります。このようなときには堆肥の山の温度も十分に上がっていないので、安心して施用することのできない未熟な堆肥と考えられます。