──なぜ酪農家を目指したのですか。
私の家は非農家ですが、祖父と叔父が酪農家です。小さいころはトラクターが好きで祖父の家に遊びに行っていたのですが、牛へのエサやりの手伝いをしたら楽しくて。頑張って世話をすると乳量が増えるなど、牛がちゃんと応えてくれることにやりがいを感じて酪農に夢中になっていきました。
中学2年の時、「牧場を継ぎたい」と祖父と叔父に話しましたが大変だからと断られたのが悔しく独学で牛のこと、エサや機械、経営などを猛勉強し、週末だけでなく夏休みや冬休みなど以前にも増して通いました。1年後に祖父と叔父から熱意が認められ、「3代目にならないか」と言われたときは、とても嬉しかったです。
──学校ではどんなことを学んでいますか。
農業経営科では、畜産と水稲・野菜・果樹などの作物を学びます。2つの農場があり、実習も多いです。3年生の時に、畜産では「牛のエサの改良」「臭い対策」などの課題研究を県や外部の機関と連携して行います。
──部活は「牛部(うしぶ)」とのことですが、どんな活動をするのですか。
牛部では、乳牛約40頭と和牛約30頭を飼養管理し、乳牛のホルスタイン種の発育や体型などの優劣を競う「ホルスタイン共進会」への出場、イベントでの搾乳体験などを行っています。普段は、搾乳やエサやりなどが活動の中心です。共進会の約2ヵ月前になると、歩き方など牛の調教や、洗浄・ブラッシングなどを行い、上位入賞を目指してみんなで準備します。
──今感じている酪農の魅力ややりがいはどこにありますか。
たくさんありますが、今魅力に感じているのは「牛の改良」です。多くの酪農家が農場経営の参考にしている牛群検定という検査があります。毎月、1頭ごとの乳量、乳成分、体細胞数、飼料給与状況、繁殖状況等をデータ化するもので、この結果を見て酪農家はエサの改善や衛生管理、繁殖管理などの見通しを立てます。牛の乳量や体型を改善させ、自分の農場に合った理想の牛にできる点にやりがいを感じます。
──卒業後どんな酪農家になりたいですか? 実現したい夢は何ですか。
卒業後は、酪農の本場である北海道で勉強したいと考えています。酪農ヘルパー(酪農家が休めるよう作業代行する)としていろいろな農場を手伝い、それぞれの生産者のノウハウを学んで経験を積み、ゆくゆくは叔父の農場に就農したいと思っています。
今、資材高騰が深刻ですが、一番の負担はエサ代です。そこで休耕田で飼料米を生産し、畜産堆肥をその飼料米の生産に活用する耕畜連携農業に取り組むことで、エサの自給率を上げることを考えています。耕作放棄地の減少と飼料高騰対策という2つの課題解決につながり、地域にも貢献できます。酪農こそが地域内の循環型社会を実現させる力になると思っています。牛も人間も幸せに暮らせる社会をつくりたいです。
全農学生『酪農の夢』コンクール
2007年から開催され、今年で18回目。これまで多くの学生が作文に夢をつづり、実際に叶えてきました。全農は、酪農の未来を担う学生たちの夢をこれからも応援します。
詳細・受賞作品はこちら▼
https://www.zennoh.or.jp/milk/award/student/index.html/
和田さんの受賞作品もぜひご一読ください。
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