ぼかし肥料とはどのような肥料ですか。
ぼかし肥料とは有機肥料を土と混ぜて発酵させた、農家の自家製肥料です。ただし、ぼかし肥料の定義は曖昧で、土を混ぜないで作るぼかし肥料もあります。また、その作り方も地域により様々、さらに同じ地域でも農家により様々です。以下はその一例です。
油かす、魚かす、骨粉などの複数の有機肥料に、ほぼ同量の土(山土などの未耕地の土が良い)をよく混ぜて、適度な水分を与えて山積みにして、むしろなどで覆ってしばらく放置すると、有機肥料は土の中の微生物に食べられて無機化(2022.5月号参照)が始まります。このように土と混ぜてあらかじめ無機化(=分解)させた有機肥料がぼかし肥料です(下図参照)。これを畑に散布すれば、有機肥料の分解の当初に発生するガスや、タネバエなどによる作物被害を防ぐことができます。
また、土を混ぜないで数種の有機肥料のみを混合して適度な水分を与えてから堆積して分解させたものや、有機肥料に化学肥料を混合して同様に堆積したものなども、主に果菜類を生産する農家などが自作して利用しています。これらもぼかし肥料です。
ぼかし肥料は原料に利用する有機肥料の組み合わせを変えることで、栽培する作物の特性に適した養分バランスに調整することができます。一般に油かすや米ぬかなどの植物質の肥料は、窒素とカリが多くリン酸が少なく、魚かすや骨粉などの動物質の肥料は、窒素とリン酸が多くカリが少ないので、窒素とカリを効かせたい葉菜類には油かすを多く用いたぼかし肥料が、果菜類やタマネギなどリン酸を効かせたい作物には、魚かすと骨粉を多く用いたぼかし肥料が有効です。
油かす10kg + 魚かす5kg + 骨粉5kg + 乾燥鶏糞5kg + 土25kg
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よく混ぜる
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水分を50~60%程度(ギュッと握って手が少し湿る程度)に調整
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山積みまたは大きな容器に詰める
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(むしろなどで覆う、時々攪拌する、1ヶ月程度堆積)
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ぼかし肥料(=適度に分解された有機物と土との混合物)完成