電子レンジで炊きたてに【パックごはん】

24年間で生産量約4倍!
パックごはんの保存性とおいしさを探る

温かいごはんをすぐに食べられる便利なパックごはん。
災害やコロナ禍を機に、非常食や常備食としても広まりました。
近年では、ブランド米や玄米、雑穀米など、多様なニーズに対応した商品が続々。
「農協ごはん」などを製造・販売するJA全農ラドファ株式会社の工場で、パックごはんができるまでを取材しました。

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 パックごはんは、ごはんを容器に入れて加圧・加熱して殺菌したレトルト米飯(べいはん)と、殺菌した米を炊飯した後に無菌室で包装した無菌包装米飯に分けられます。JA全農ラドファ(株)は、1993年の創業以来、一貫して無菌包装米飯を製造。飲食店などで、開店からごはんが炊き上がるまでや、閉店近い時間にごはんを余らせないよう使われるなど、長時間労働やフードロス対策として近年業務用の需要も高まっているそうです。また、同社は全国20産地以上からの受注品も手掛けています。最新の炊飯製造ラインは、細かい火加減や炊飯時間の調整もお手の物。銘柄や好みに合わせた炊き方はブランド米の産地にも好評です。西日本の産地では、粒感のはっきりしたかためのごはんが人気なのだとか。
 パックごはんの製造工程は、HACCP※認定の厳格な品質管理の下で作られています。原料米はHACCP認定の精米工場から毎日配送。しっかり米ぬかを取り除き、水に浸します。発芽玄米の場合は、工場内で1日水に浸し発芽させて炊飯へ。鮮度を追求した独自製法です。
 炊飯は、約7kgのお米が入る大釜が98個並ぶ自動炊飯機を使い、ガスによる直火炊きでじっくりと。約25分火にかけ、約30分かけて蒸らします。手間はかかりますが、つやがありふっくらした炊きたてのおいしさは格別です。

※原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程で製品の安全性を確保しようとする国際的な衛生管理手法

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白米4種類、発芽玄米3種類、業務用の8商品を販売しています
 そのおいしさをそのままパックするために無菌包装室へ。ここは、1年もの長期保存を可能にするため、わずかな空気の汚れも許さない厳しい衛生管理がされています。空気の清浄度はなんと手術室と同レベル! 当然、従業員も入室する際は専用の作業着に2回着替え、目以外の全身を覆い、万全の態勢で作業をします。もちろん日頃から気をつけていることもたくさんあり、納豆や生の貝類は食べません。特に菌の繁殖力が強い納豆は厳禁で、作業員だけでなく、工場の全従業員が守っているそう。
 無菌包装室で業界唯一のシャリ切り機械によってほぐされ、余分な水分を飛ばし、食感の良い粒立ちごはんになると、PH調整剤や合成保存料などは使わずに酸化を防ぐため、窒素ガスを入れてパック詰めします。そうして無菌包装室を出て、X線などの最終チェックを行い、包装・箱詰めして出荷されます。同工場は1日に約4万個を製造し、年間約1620万個を生産する能力があります。イギリスやシンガポールなどへ輸出拡大も見込まれるため、さらなる生産拡大に取り組んでいます。
 人気は看板商品の「農協ごはん」のほか、どんな料理にも合わせやすい食べやすさが魅力の「ひとめぼれ」、玄米食専用品種でパサつきが少なくモチモチ食感の「金のいぶき」など。ご飯を炊き忘れた! ちょっとだけごはんが足りない! など、家庭にありがちなシーンも、電子レンジや湯煎ですぐ食べられるパックごはんがあれば一安心。おにぎりや炒飯などアレンジもOK!温かい食事で心もおなかもパッと満たせる、お手軽パックごはんはいかがですか。  

▼パックごはんのアレンジレシピ
JA全農米穀部 公式X
お米に関するさまざまな情報を発信。レシピや豆知識などが満載です。

2024.09更新

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