第69回 生島ヒロシさん

「国消国産」が日本を救う!

 私の生まれた実家は、宮城県気仙沼市で「伊勢浜食堂」という名前の大衆食堂を営んでいました。
 当時の気仙沼は漁港として栄え、日本全国から船乗りや漁師が集まり、活況を呈していました。一番人気はカツ丼。
 屈強な海の男たちですから、食欲はもちろん旺盛で、ご飯の大盛りをペロリと平らげ、お腹いっぱいの彼らは笑顔で船に乗り、元気に漁へ出かけて行った姿を今でも鮮明に思い出します。
「大きくなったら、漁師さんたちのように、ご飯をいっぱい食べて元気な大人になりたい!」。
 ライスパワーの効果!? その夢はかない、若い時は単身、アメリカへの武者修行を経験し、73歳になった今でもTBSラジオの平日月〜金曜日の午前5時~6時30分の『生島ヒロシのおはよう定食・一直線』のパーソナリティーをつとめています。
 番組は「聴くスポーツ新聞」をキャッチフレーズに1998年4月6日に放送スタート。お陰様で、遅刻したことはありますが、休みなしで26年目に突入! 充実した日々を送っています。
 私はアメリカでの生活で、日本のお米がいかに優れもの、かつ元気の源になるかを痛感しました。
 掛け値なしに日本のお米、畜産物は世界一です!
 その世界に冠たる日本の食文化・彩り豊かな食卓の素晴らしさを今一度、再認識し、子孫に伝えることが我々高齢者の責務だと思います。
 ところが、残念なことに現在の日本の食料自給率は低下し、40%を切っていると聞きます。
 すなわち食料の約6割を輸入に頼っているということで、この数字は先進国の中で最低の水準。
 我が国の農業生産基盤の弱体化は、目を覆うばかりです。
 もし今後、日本の農家の減少が続き、一方、戦争やコロナのようなものが原因で海外からの輸入が制限されたら、どうすればいいのか!?
 機械や工業製品と異なり、農畜産物はすぐに生産を増やすということは一朝一夕には出来ません。考えたくない、恐ろしい話ですが先祖や先人が育み、今に伝える日本の食文化が崩壊の危機に瀕していることは間違いありません。
 ロシア・ウクライナ戦争の影響で小麦の値段が上がり、食料品はもとより全ての物価が上昇し、国民の生活を脅かしています。
 今こそ、原点に立ち戻り日本人が必要として消費するお米・食料を日本国内でまかなうべくアクションを起こしましょう!!
 「国消国産」こそ、我が国の根幹、一丁目一番地と考えます。

img_s
イラスト:はやしみこ
author

生島ヒロシ(いくしま ひろし)

1950年宮城県気仙沼市生まれ。1971年単身渡米し、1975年カリフォルニア州立大学ロングビーチ校ジャーナリズム科卒業。1976年TBS入社、ラジオ番組を振出しに、アナウンサーとして活躍。1989年独立。現在、TBSラジオ系『生島ヒロシのおはよう定食・一直線』等の番組出演、CM出演、講演など多方面で活躍中。

booktitle
『日本経済 本当はどうなってる?』
岩本さゆみ共著
青春出版社

2024.09更新

閲覧数ランキング