家庭菜園・きほんの「基」

石灰は毎作必要ですか?

指導◎岡本 保(JA全農 肥料研究室技術主管)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Q石灰は毎作必要ですか?

A 家庭菜園では石灰を毎作施用する必要はありません。通常は1年に1回程度、苦土石灰または炭酸カルシウムを、1m2あたり100g程度施用すれば良いでしょう。ただし、ホウレンソウのように酸性土壌を特に嫌う作物を栽培するような場合には、過去1年以内に施用していても、同50~100g程度を栽培の前に施用してください。
 石灰は作物に吸収されたり、降雨により下層に流されたりすることで、土壌から徐々に失われます。雨が多い日本の畑からは、石灰が失われがちです。石灰が不足すると、作物に石灰欠乏症状(典型的な症状は、キャベツなどの葉縁の枯れ込みや、トマトなどの果実先端の黒変など)が表れ、また土壌が酸性化して、土壌から植物の生育にとって有害なアルミニウムが溶け出すことなどにより、根の伸長が妨げられます。
 作物にとっては必要な石灰ですが、必要以上に連用すると土壌pHがアルカリ性に偏ってしまいます。アルカリ土壌では、作物に必須の鉄や亜鉛などの養分が、作物に吸収できない形に変化するなど、作物の生育に様々な弊害を招きます。石灰は適量の施用が肝心です。正確を期すには、土壌pHを測定して施用することが望ましいです。pHの測定については2021年10月号を参照してください。

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2021.09更新

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