石灰は毎作必要ですか?
家庭菜園では石灰を毎作施用する必要はありません。通常は1年に1回程度、苦土石灰または炭酸カルシウムを、1m2あたり100g程度施用すれば良いでしょう。ただし、ホウレンソウのように酸性土壌を特に嫌う作物を栽培するような場合には、過去1年以内に施用していても、同50~100g程度を栽培の前に施用してください。
石灰は作物に吸収されたり、降雨により下層に流されたりすることで、土壌から徐々に失われます。雨が多い日本の畑からは、石灰が失われがちです。石灰が不足すると、作物に石灰欠乏症状(典型的な症状は、キャベツなどの葉縁の枯れ込みや、トマトなどの果実先端の黒変など)が表れ、また土壌が酸性化して、土壌から植物の生育にとって有害なアルミニウムが可溶化し、根の伸長が妨げられます。
作物に必要な石灰分を補い、かつ酸性になりがちな土壌を中和する資材として、苦土石灰(苦土タンカル)、炭酸カルシウム(タンカル)、カキ殻(有機石灰)などが市販されています。これらはいずれも炭酸カルシウムを主成分とし、水に徐々に溶けて作物に必要なカルシウムを供給し、また酸性になりがちな土壌を改良します。苦土石灰はカルシウムの他にマグネシウムを含むため、養分バランスが良く使いやすい石灰資材です。カキ殻は窒素、リン、亜鉛等の副成分をわずかに含み、その分だけ炭酸カルシウムの含有量が若干少なく、酸性改良効果が他の資材よりも穏やかです。これらを適宜使い分けてください。
作物にとっては必要な石灰ですが、必要以上に連用すると土壌pHがアルカリ性に偏ってしまいます。アルカリ土壌では、作物に必須の鉄や亜鉛などの養分が、作物に吸収できない形に変化するなど、作物の生育に様々な弊害を招きます。石灰は適量の施用が肝心です。正確を期すには、土壌pHを測定して施用することが望ましいです。土壌pHの測定については次号説明します。
