ジョイント栽培導入で作業効率UP
「幸水、豊水、あきづき、新高、甘太そしてにっこりと、8月から11月頃まで順次出荷が続きます。安定した人気の幸水や豊水は競合産地も多く、8~9月に出荷が集中するので、10~11月頃に出荷できる品種として『にっこり』が誕生しました。大玉で食べ応えがあり、果汁が多くて果肉がなめらかで糖度が高い、とっても美味しい梨です。しかも貯蔵性がよく船便で運べるので、東南アジアなどへの輸出もこの5~6年で定着しています」と、説明してくれたJAうつのみや営農部園芸課主査の大金俊介さん。
「にっこり」は1984年に栃木県農業試験場で「新高」と「豊水」を交配して選抜育成され、1996年に品種登録されました。大玉で重さが700g~1kg以上にもなるという「にっこり」。1本の樹につく実を摘果して、残した実を大きく育てます。
JAうつのみやでは労働力不足を補うため、生産者と一体となって、新しい栽培方法に積極的にチャレンジしています。そのひとつが「ジョイント栽培」です。主枝を一方向に伸ばし、先端部を隣りの樹に接ぎ木して一直線に仕立てる栽培方法で、近年導入する梨の産地が増えているそうです。
名乗れるのは高糖度の梨だけ

収穫された梨はコンテナに詰めてJAの選果場に出荷されます。選果場では1玉ずつラインにのせられ人の目と光センサーで形、大きさ、糖度、熟度を計測後、箱詰めされていきます。
「当JAでは糖度10度に満たないのものは『にっこり』として出荷しません。13度以上が目標です」と、JAうつのみやの大金主査が言いきるように、品質には絶対の自信をもっています。
「大玉、贈答用としての需要が多いですが、市場の売れ行きをみると1玉700~800gで、7玉入り(1箱5kg)が人気です。消費者の皆さんの要望に応えながら大きさを揃え、品質のよいものを安定出荷していきたいです」と相場専門部長。病害虫はもちろん、春先の霜や長雨による日照不足、猛暑、台風の直撃など自然災害の心配をしつつ、授粉から半年経ってやっと収穫を迎えます。
(取材:2020年10月上旬)
●JAうつのみや
【にっこり梨】生産概要
生産者:100名
栽培面積:約160ヘクタール
出荷量:約3800トン
主な出荷先:京浜、栃木県内
