【新潟県新潟市】

半世紀以上、愛され続ける こがねもち

米どころ新潟には、ブランド米として有名なうるち米品種「コシヒカリ」と双璧をなす、もち米品種「こがねもち」があります。
豊かな大地と雪解けの清らかな水で育てられた「こがねもち」は、コシが強くて伸びが良く、きめが細かくて美味しいと餅製品に多く使用されて、60年以上にもわたり愛され続けています。
米づくりの長い歴史と伝統が息づくJA新潟みらい管内のもち米生産者を訪ねました。

豊かな土壌と恵まれた自然環境で育まれる米

JA新潟みらい水稲部会の大嶋喜芳さん
 もち米は、お餅にするほか、赤飯やおこわの原料となります。また、あられやおかき、白玉粉や上新粉など粉にして和菓子の原料にも使用されています。なお、新潟県内には切餅や米菓の大手メーカーなどが集中しています。
「管内を流れる信濃川などの大河川が上流から運んだ肥沃な粘土質の土壌は、米作りに必要な養分をたくさん含んでいます。春には豊富な雪解け水が清らかな農業用水として水田に活用されます。さらに、米の味を左右する登熟期(穂が出た後に子実が大きくなる期間)の平均気温が実りに最適とされる24.5℃で、昼夜の温度差が大きいことも、美味しい新潟米を育む要素だといえます」と、説明してくれたJA新潟みらい営農経済部農政米穀課の本間毅さん。
 JA新潟みらいで栽培されているもち米品種は「こがねもち」と「わたぼうし」の2品種が中心です。
「こがねもちは新潟を代表するもち米の銘柄です。コシ、粘りが強く、煮くずれしにくいのが特長で、栽培の約6割を占めています。60年以上経つ品種ですが、きめが細かく食味がよいため包装餅メーカーから長年評価され続けています。もうひとつのわたぼうしは1994年に育成された早生品種のもち米で栽培の約3割を占めます。わたぼうしの名前は、新雪のように白くて、ふんわりした餅の美味しさを表しています」と、JA新潟みらいの本間さん。
 JA新潟みらい管内は、白根地区(新潟市南区)、五泉地区(五泉市)、亀田・横越地区(新潟市江南区)、阿賀地区(阿賀町)、新潟西地区(新潟市西区)の5つの地区があり、遠く佐渡島を望む日本海沿岸から福島県境にわたる広大な面積で米づくりが行われています。

細心の注意でうるち米混入を防ぐ

 JA新潟みらい水稲部会の大嶋喜芳さんはうるち米のコシヒカリと新之助を合わせて9.2ヘクタール、もち米のこがねもちを5.6ヘクタールで栽培しています。昔はどこの農家でも自家用のもち米を作り、お正月や行事のときに餅にしたり、赤飯にして食べていたといいます。
「こがねもちは美味しいので、昔から自家用に栽培していました。JAから生産依頼がきて徐々に栽培面積を拡大していきました。こがねもちは4月末に田植えを行い、9月上旬に収穫を行います。こがねもちの収穫を終えてから、コシヒカリ、新之助の順で収穫していきます」と、大嶋さん。

黄金色の稲穂が首を垂れて、収穫の時期到来です

 もち米栽培で一番気をつけているのは「うるち米ともち米が混ざらないようにすること」です。そこで、「先にもち米を刈り取って、コンバインや乾燥機、籾擦機などすべての機械の清掃をしっかりと行うことで混入を防いでいます」とのこと。
 もち米は刈り取りが遅れると「胴割れ」(米にヒビが入り品質が低下する)になるほか、雨の多い年は「穂発芽」といって、稲を刈り取る前に穂から発芽してしまうなど、うるち米の栽培以上に注意が必要な米だといわれています。
「温暖化の影響で夏場の気温上昇による品質の低下が心配されていますが、水管理を徹底して品質の安定に努めています」と、大嶋さん。
 JA新潟みらいでは生産者に安全安心で高品質なもち米を生産してもらうため、栽培暦の配布や栽培ステージに応じた指導会の実施などで生産者をサポートしています。
 今年は9月5日から収穫が始まり15日で無事終了しました。「収量もよく、品質も悪くない」と、ホッと胸をなでおろし、収穫の喜びをかみしめる大嶋さんです。

 こがねもちは「もち米の王様」とも呼ばれ、餅にした時のコシや伸び、舌触りの滑らかさ、もっちりとした歯ごたえが特長で、餅に最適の米といわれています。お雑煮やお汁粉、鍋物などにこがねもちで作った切餅をぜひご利用ください。もちろん、赤飯やおこわなどにしても食味は抜群です。

●JA新潟みらい
【もち米】生産概要
生産者:255名
栽培面積:約277ヘクタール

JA新潟みらい営農経済部農政米穀課の本間毅さん

2021.12更新

閲覧数ランキング