【岡山県瀬戸内市】

夏こそ食べたいトロトロ食感 冬瓜とうがん

文◎編集部 撮影◎磯野博正

冬の瓜と書くのに「夏」が旬の野菜です。
常温で冬まで日持ちする意味からこの名がついたといわれています。
JA岡山の瀬戸内市牛窓町(うしまどちょう)では、1980年代から栽培が開始され、温暖な気候を活かしてトンネル栽培なども行いながら6〜10月までの長期出荷を実現。
全国トップクラスの生産量を誇ります。
瀬戸内海を臨む眺めの良い冬瓜畑を訪ねました。

map

収穫は投げて「パス」

01
「マーボー冬瓜を食べて暑さを吹き飛ばして」と、JA岡山牛窓夏野菜部会の森部真史部会長
 牛窓町では瀬戸内海に面した温暖で晴天の多い気候を利用して、冬瓜、南瓜(かぼちゃ)、スイカ、白菜、キャベツなど1年を通じてさまざまな野菜を栽培しています。
「元々、スイカや南瓜などの栽培が盛んでしたが、競合する他産地に押されて売り上げが伸び悩んでいたことから、“蔓もの”の栽培に慣れている農家に冬瓜の導入を勧めました。土壌も適していたので生産量は順調に増え、今では県内シェア8割を占めるほどの中心産地になっています」と、JA岡山瀬戸内営農センターの今吉嘉文センター次長。
 収穫最盛期を迎えた牛窓夏野菜部会の森部真史部会長の畑を訪ねると、何やら木の棒のようなものを持って畑で探し物でもしているかのような仕草…。
「大きな葉の陰に冬瓜が隠れているので、こうして棒で葉を避けながら見つけていきます。葉と同じ緑色をしているから見落として収穫が遅れると、あっという間に大きくなってしまうんですよ」と、森部部会長。

【左】長い棒を使って大きな葉を避けながら冬瓜の実を見つけます
【右】大きな葉や蔓の下にある冬瓜をハサミで収穫
 畑の中を行き来して蔓を踏まないよう、収穫は二人一組で実を取る人と運ぶ人に分かれ、ラグビーボールのパスのように受け渡していく独特のスタイルです。
「実は1玉3〜4kgはあるので運ぶのが大変。そこで、実を取って通路にいる相手にパスしてトラックに詰め込んでいく方法が、この地域の昔からのやり方です。重いので、腰に負担がかかるし、最盛期は夏の炎天下での作業なので、これが一番きついかな」とのこと。

 森部部会長は脱サラして大阪から移住し、今年で就農23年目を迎えます。
「自給自足の生活を求めて、岩手とか鹿児島とか全国各地いろいろ探した結果、牛窓町に落ち着きました。新規就農者へのサポートがしっかりしていて、技術面も聞けば何でも教えてくれたから。冬瓜の後作に白菜やキャベツを栽培し、米も作っています」と森部部会長。作業が分散できる野菜の複合経営により、収入確保につなげられたことは大きいといいます。「これまで支えてもらった分、今後はサポートする側として地域ぐるみで協力し合い、産地の維持と発展に努めたい」と語ってくれました。

選別にこだわり、ブランド化

02
【左】冬瓜の表面には産毛がびっしり
【右】トラックに積み込んで作業場に運び、 機械で磨きをかけて産毛を取ります
 収穫した冬瓜を見ると表面に産毛がびっしり。これが刺さるとかゆくなってしまうので、収穫時は長袖、手袋が必須です。この産毛を機械で磨きをかけてきれいに取ってから、1箱10kgになるよう箱詰めし、選果場に出荷します。
「大きなものは1玉で10kg以上にもなることがありますが、1玉3〜4kgで3玉入りが中心となるよう出荷基準を定めています。選別にこだわり、白色の出荷箱に入れて市場での差別化を図り、牛窓の冬瓜としてブランド化しています」と、JA岡山の今吉センター次長。安定した質の高さで市場評価は着実に高まっています。

 
03
【左】白い出荷箱で牛窓の冬瓜をアピール
【右】1箱10kg、3玉入りが出荷の中心

 全国トップクラスの生産量がありながら県内での消費量は伸び悩んでいるため、おいしさを知ってもっと食べてもらえるよう瀬戸内市内の小中学校の学校給食に冬瓜を提供しています。
「今一番のおすすめは“マーボー冬瓜”です。なすを冬瓜に代えるだけ。淡泊な冬瓜はどんな食材ともよく合います。冬瓜のスープを多めに作り、夜はそのまま食べ、翌日は冷やしてうどんやそうめんにかけてもおいしいですよ」と、森部部会長。
 実の90%以上が水分で、低カロリー。冬瓜自体に味があまりないため、だしで煮るとうま味がしみ込み、とろけます。あんかけ、天ぷら、サラダ、おでんなど、いろいろな料理で楽しめます。
 7月10日は「7月(なつ)」「10日(とうがん)」の語呂合わせで、JA岡山牛窓夏野菜部会が制定した「冬瓜の日」です。部会ではおいしい牛窓産冬瓜のPR活動を行っています。冬瓜を食べて暑い夏を乗り切りましょう!

(取材:2022年6月末)

●JA岡山牛窓夏野菜部会
【冬瓜】生産概要
生産者:60名
栽培面積:約13ヘクタール
出荷量:約1500トン(2022年実績)
主な出荷先:関西、名古屋、福岡など

「品質には絶対の自信があります。6~10月まで長期出荷しているのでぜひ食べてみてください」と、JA岡山瀬戸内営農センターの今吉嘉文センター次長

2023.08更新

閲覧数ランキング