「肥料焼け」とはどのような症状ですか?
野菜作りに一般的に使用されている化成肥料は、硫酸アンモニウムや塩化カリなどの水に溶けやすい塩類を原料としています。このため、施肥量が極端に多すぎると、植物の根が肥料の成分で「塩漬け」になったのと同じ状態になり、根の細胞が壊死して機能が損なわれ、症状が激しくなると枯死に至ることがあります。このように、極端に濃い肥料により根が損傷した状態のことを肥料焼けといいます。ただし、土壌には衝撃を和らげて植物の根を不良環境から守る機能があるので、土がある程度は肥料焼けを防いでくれ、一回や二回、少し多めに施肥した程度では、このような肥料焼けは起こりにくいです。しかし、適量を超えた施肥を毎回続けたり、また養分豊富な鶏ふん堆肥や豚ふん堆肥を大量に施用しながら、かつ化成肥料も必要以上に施用した場合などに、肥料焼けが起こることがあります。
施肥量が極端に多くなくても、施肥の直後にたねまきや植えつけ作業を行うと、発芽直後の幼根や、植えつけ直後のまだ弱い根が、施肥した直後の肥料の粒に直接触れる可能性があり、この場合に種子の発芽や苗の活着が損なわれることがあります。これも一種の肥料焼けです。
また、ダイコンやカブなどの白い根の根菜類は、土の中の肥料の粒や堆肥の塊などの、スポット的に肥料分が濃い所に根が遭遇すると、収穫時の根の表面に「しみ」が付いて外観品質が悪くなることがあります。この場合、根の機能等には特に障害はなく、生育にも支障なく、収量にも影響しませんが、このような収穫物の品質低下も、一種の肥料焼けです。
肥料焼けを防ぐには、適正な施肥量を守ることが第一です。化成肥料はもちろん、堆肥の施用量も適量を守ることが肝要です。また肥料をまいた直後のたねまきや植えつけは控えましょう。一般的には元肥の施用は、たねまきや植えつけの1週間程度前に行うと、その間に肥料の粒が土の中に均一に溶け出して土に馴染むので、根が肥料の粒と直接接触することが少なくなり、肥料焼けを防ぐことができます。また根菜類を作る場合には、堆肥の施用は前作の前に行っておくと、堆肥による肥料焼けを回避することができます。