どのように保存したらよいか?

指導◎川城英夫(JA全農耕種総合対策部テクニカルアドバイザー)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Qどのように保存したらよいか?

A秋から冬にかけてとれる野菜は多く、上手に保存して長く味わいたいものです。しかし、まとめて冷蔵庫に入れておけばよいということではありません。野菜の種類によって長く持たせるコツは違います。野菜の性質や使用目的に合わせ、保存方法を使い分けるのが得策です(表)。

・保存適温が0℃程度の野菜 ~葉物野菜は低温で~
 野菜は収穫後もしばらくの間、栽培中とほぼ変わらない生命活動を続けています。ホウレンソウなどの葉物野菜やニンジン、ダイコンなどは低温と湿度を保って保存します。低温・多湿にすることで、糖を消費する呼吸やしおれを発生させる葉からの蒸散、葉を黄化させるエチレンの発生を抑制し、新鮮さとおいしさを保つことができます。したがって、保存適温が0℃程度の野菜は、収穫後、ポリ袋などに入れて野菜室で保存するのがよいでしょう。

・保存適温が8~15℃程度の野菜 ~寒さに弱い野菜もある~
 サトイモやショウガ、サツマイモなど熱帯地域原産の野菜は、温度が低い所に置かれると腐敗してしまいます。このような野菜は、低温にならない室内や、土に穴を掘って保存します。
 保存するとおいしくなる野菜もあります。サツマイモやカボチャなど、デンプン含量の多い野菜は、収穫してしばらおくとデンプンが糖に変わり、しっとり甘くなります。

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表 野菜の保存条件と障害などの発生
野菜の種類 保存適温(℃) 保存適湿度(%) 新芽が伸びる温度(土) 凍害・腐敗発生温度と保存方法
根深ネギ 0 95~100 5 地上部は−5℃以下で凍害を受けるが、地中部分は凍害を受けない。温暖地では畑で越冬できる
ハクサイ 0 95~100 5 頭部をひもなどで結束すると−8℃くらいまで耐える
キャベツ 0 98~100 5 −3(春系品種)~−5℃以下(寒玉系品種)で凍害が発生する。温暖地では畑で越冬できる
ニンジン 0 98~100 6~7 −5℃以下で凍害が発生する。温暖地では強い霜が降りる前に土を10cmほどかけておくと畑で越冬できる
ダイコン 0~1 95~100 7~8 −3~−5℃以下で凍害が発生する
カブ 0 98~100 6 −3~−5℃以下で凍害が発生する
ゴボウ 0 90~95 6~7 地中の根は地上が−20℃でも凍害を受けない。温暖地では畑で越冬できる
サトイモ 8~10 85~90 15 6℃以下で腐敗がはじまる。深さ50cmほどの穴を掘り、イモを掘り上げたままの状態で埋める。温暖地では強い霜が降りる前に土を10cmほどかけておくと畑で越冬できる
ショウガ 13~15 90~95 18 保存の下限温度は、大ショウガ13℃、小ショウガ12℃。新聞紙で包んで発泡スチロール箱に入れて室内で保存する
サツマイモ 13~15 85~90 18 10℃で糖化は促進されるが、1ヵ月以上おくと腐敗がはじまる。収穫したら2~3時間ほど日に当てて乾かし、新聞紙で包んで発泡スチロール箱に入れて室内で保存する
カボチャ 10~13 50~70 7℃以下で内部褐変、腐敗が発生する

2023.11更新

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