果菜類の保温育苗のやり方は?

指導◎川城英夫(JA全農耕種総合対策部テクニカルアドバイザー)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Q果菜類の保温育苗のやり方は?

A 果菜類は苗を購入する方法もありますが、苗を作るところから始めるなら、楽しみがいっぱいです。果菜類の育苗時期はまだ寒いので、育苗には保温が必要です。

〇たねまき適期を知る
 果菜類のたねまき時期は、定植時期から育苗日数をさかのぼって決めます。定植時期は遅霜の心配がなくなってからで、一般平坦地では5月上中旬からになります。そこから育苗日数を差し引くと、2月下旬から4月が果菜類のたねまき時期になります(図1)。

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〇温度と水分管理のコツ
 発芽をそろえ、徒長させず、がっしりとした苗に仕上げるためには、温度と水管理を適切に行うことが大切です。温度計を用意して、しっかり温度管理を行いましょう。また、寒い時期は日中も夜間も、基本的にトンネルの中で育苗します。
 果菜類の多くは発芽適温が25~30℃にあるため、トンネルや家庭用の簡易な育苗器で保温して発芽させます。
 たねをまく2~3日前に育苗箱やポットに土を詰め、水やり後にポリフィルムなどで覆い、地温を高めておくと発芽がスムーズになります。たねまき、覆土後にぬるま湯をさっとかけ、乾燥防止のため新聞紙をかぶせます。
 発芽が始まったら新聞紙を取り除き、日中はできるだけ日光に当て、30℃以上にならないようにトンネルを換気します。夜間はトンネルを閉め、保温マットなどを使用して温度が低くならないようにします(図2)。

図2 育苗中の管理
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【上】育苗中、昼間は日光によく当てる。温度が上がりすぎる場合は、トンネル上部を開けて換気を行う
【下】夜間は、保温資材のトンネルや保温マットなどを使用して保温する

・温度設定ができる保温マットなどを使用する場合
 表1のように生育に伴って夜温を徐々に下げると徒長を防ぎ、がっしりした苗に仕上げることができます。

表1 主な果菜類の温度管理と定植時の目安

野菜名 発芽適温 昼温 夜温 定植時の目安
トマト 25~30℃ 25~26℃ 16~10℃ 第1花房開花はじめ
ナス 20~30℃ 25~28℃ 18~12℃ 1番花開花直前
キュウリ 25~30℃ 25~28℃ 18~12℃ 本葉2~3枚
カボチャ 25~30℃ 25~28℃ 18~12℃ 本葉3~4枚
スイカ 25~30℃ 25~28℃ 18~13℃ 本葉4~5枚
注)夜温は発芽後、記載の範囲で徐々に下げていく

・水は晴天の午前中にやる
 育苗中の水やりは、晴天の午前中、温度が上昇した頃に行います。植えつけ適期が近づいてきたら、戸外の条件に順応させるため、徐々に水やりを控えめにします。

2024.03更新

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