夏の暑さ対策は?

指導◎川城英夫(元JA全農 耕種総合対策部技術主管)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Q夏の暑さ対策は?
 ここ数年、夏が極端に暑くなっています。高温と強い日差しによって土壌も乾き、さまざまな野菜で生育障害や発芽不良が見られます。どのような対策があるでしょうか。

A〇夏野菜への対策
 対策の一つは、暑さに強い野菜を作ることです。熱帯地方原産のオクラ(写真1)、ゴーヤー(写真2)、クウシンサイ(写真3)、モロヘイヤ、スイカに加え、スイスチャードなどは猛暑でも元気に育ちます。

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【左・写真1】オクラ。暑さに強く、次々と果実をつける。植えつけは十分暖かくなってから。
【中・写真2】ゴーヤー。暑さに強く、病害虫の被害も少なく、丈夫で育てやすい。グリーンカーテンにも使える。
【右・写真3】クウシンサイ。暑さに強く、病害虫の被害が少ないので栽培しやすい。真夏の青物として重宝。
生育中の野菜には、敷わらをすると地温が下がり、土壌水分の蒸発も防げます。定期的な水やりも欠かせません。

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敷わらは地温低下、土壌水分の蒸発抑制効果がある。
〇秋冬野菜への対策
 秋冬野菜の多くは、夏の暑い盛りにたねまきや苗づくりを行うため、猛暑や少雨によって発芽や苗づくりで失敗する人が少なくありません。
 育苗する場合の対策の一つは、発芽するまで涼しい場所で管理することです。レタスは30℃、キャベツやブロッコリーなどは35℃を超えると発芽不良を起こします。このような野菜は、芽が出始めるまでは軒下に置くか(写真4)、遮光資材で被覆するなどして、発芽適温に近づけます(写真5)。翌朝にかけて気温が下がる夕方にたねをまくことも効果的です(写真6)。

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【左・写真4】発芽するまで涼しい場所で管理。日が射さない軒下などに置いて発芽させる。発芽したら光の当たる場所に移す。新聞紙で覆うのは、主に土壌水分の蒸発を防ぎ、土が乾かないようにするためで、これによって発芽が安定する。
【中・写真5】寒冷紗などで被覆して温度を下げる。
【右・写真6】レタスのたねまき。高温で発芽しにくいレタスは夕方にたねをまく。
 じかまきするニンジンやダイコンなどは、土を手で握って開いたときに崩れるほど乾いていたら、たねまき前に1m2当たり20~30Lの水をやり、深いところまで土を湿らせます。
 夏にマルチをして苗を植えるレタスやたねをまくダイコンなどは、地温の上昇抑制と土壌水分保持効果がある白黒のマルチフィルムがおすすめです。

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白黒フィルムでマルチをして栽培するレタス。地温の上昇と土壌水分の蒸発を抑制する。
 
 また、耕うんや畝立て、苗の植えつけは、暑い時間帯に行うと(土壌水分が蒸発して)土が乾きやすく、苗もしおれやすい(激しく蒸散をする)ので、気温も地温も下がり、日差しが弱くなる夕方に行うようにします。植えつけ前後には苗にたっぷり水やりをします。
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2024.05更新

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