家庭菜園・きほんの「基」

指導◎岡本 保(JA全農 肥料研究室技術主管)イラスト◎かとうともこ

「わくわく菜園づくり」でおなじみの菜園田ファミリー。東京都内のマンションに住んでいた大地、若菜さん夫婦は美味しいものが大好きで、休日は二人で食べ歩きをしていました。子どもができたのをきっかけに素材の野菜作りから楽しもうと、東京都郊外の庭付き一戸建てに引っ越しました。娘のナナちゃんと息子のアグリくんも畑でのお手伝いが大好きです。
ナナちゃんは虫がちょっと苦手、アグリくんは何でも手づかみするいたずらっ子ですが、種まきや水やりがとても上手です。
これから家庭菜園を始めようというビギナーさん必見!野菜作りの基本のきを紹介します。マスターしたら、本誌の「わくわく菜園づくり」を参考にチャレンジしてね。

菜園田ファミリー
菜園田ファミリープロフィール
  • お父さん:大地(ダイチ)35歳
    お母さん:若菜(ワカナ)33歳
  • 長女:菜菜(ナナ)8歳
    長男:阿久利(アグリ)4歳
  • ペット犬:ユズ(♂)
    ペット猫:アズキ(♀)

Q良い土の特徴や見分け方を教えてください。

A 良い土の特徴について説明する前に、作物にとっての土の役割をまずはおさらいしておきましょう。土の役割は大きく分けると、作物が(1)根を張り作物の体を支え、生育に必要な(2)水分、(3)空気、(4)養分を貯え、また(2)~(4)を根に供給し、根を(5)有害物や、(6)病害虫などから守る、などの働きを担っています。
したがって良い土の特徴とは、これらの役割を十分に発揮する、(1)適度な柔らかさを持ち、(2)保水性が良く、(3)通気性・排水性が良く、(4)肥料の持ちが良い、(5)酸やアルカリに偏っていない、(6)病害虫の天敵となる生物が多く生息する土、と言えるでしょう。
 これらは見た目や手触りで、ある程度判定することができます。(1)の土の柔らかさについては、畑に竹の棒などを刺してみることで、簡易に判定することができます。少なくとも20~30cmぐらいの深さまで、大きな力を加えなくても棒が刺されば、適度な柔らかさを持つ土と言えます。
 (2)保水性が良く、(3)通気性・排水性が良く、(4)肥料の持ちが良い土かどうかは、土の手触りで判断することができます。一般に粒の大き目な砂質の土は、排水性は良好ですが保水性や肥料の持ちが悪く、逆に粒の微細な粘土質の土は、排水性は不良ですが、保水性や肥料の持ちが良い土です。
 少量の土を片方の手に取り、その少量を反対の手の親指と人差し指の先に挟み取り、指と指の間で土をゴロゴロとこねたときの感触が、ザラザラして粒の粗い砂のように感じる土は、排水性や通気性は良いですが、保水性や肥料の持ちが悪い砂質の土です。同様に指先の間でこねたときに、小麦粉よりも細かい粒を感じるような手触りで、指先に粘着し、コヨリのように細い棒状になるような土は、肥料の持ちは良いですが、通気性や排水性の悪い粘土質の土です。
 その中間の、ザラザラした砂と、ねばねばした粘土とを、半々ぐらいに指先に感じる土は、保水性と排水性という相反する性質を併せ持ち、かつ肥料分を程よく保持し根に供給することができる、良い土と言えます。砂でも粘土でもない、このような土を「壌土(じょうど)」と呼んでいます。色々な畑の土を触って感触を確かめてみてください。ただし、作物によっては壌土よりも砂質や粘質の土のほうが、品質の良いものが収穫できる場合もあります。例えばサツマイモは砂質の土のほうが甘くなり、サトイモは粘土質の土のほうが食感が良くなると言われています。
 (5)の酸やアルカリに偏っていない土を、見た目で的確に判断することは困難ですが、一般にスギナやオオバコが良く生育する土は、酸性気味と言われています。また土の色が黒いほど「腐植」と呼ばれる有機物を多く含んでいます。腐植は土が酸やアルカリに偏るのを和らげる働きを持っているので、黒い色をした土ほど酸やアルカリに偏りにくい、良い土と言えます。
 (6)の病害虫の天敵となる生物が多く生息する土には、天敵以外にも多種多様な生物が生息しています。それらの中で見つけやすいのはミミズです。ミミズが直接病害虫の天敵になるわけではありませんが、ミミズが生息しやすいような土は、生物のエサとなる有機物が豊富で、ミミズ以外の多種多様な生物が生息しています。このような多様な生物が棲む環境では、特定の病害虫だけが大手を振って生息することが困難になり、作物の根が土の中の病原菌や害虫に侵されにくくなります。このような土は堆肥などの有機物を投入して丹念に土づくりを行った結果できるもので、良い土とは人が丹念に作りあげた土とも言えます。

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2021.03更新

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