日本の伝統食【餅】

効率よくエネルギー補給ができる
手軽なパワーフード「餅」

古くから日本人はお餅を特別なハレの日に食べてきました。正月の雑煮や節句の菱餅、かしわ餅。誕生や成人、結婚など人生の節目には祝い餅の習慣が残っています。
稲には稲の神様である稲霊(いなだま)が宿り、餅は単なる食べ物ではなく、神聖なものとして敬われてきました。餅を食べると力がつき、生命を再生する霊力があると信じられ、ハレの日に餅を食べる習慣が広まりました。
餅は少量で効率よくエネルギー補給ができるパワーフードです。年末年始、食べる機会が増える日本の伝統食「餅」の魅力を探ってみました。

 一年の始まりを祝うお正月の餅には特別の意味があります。すべての人や物に新しい命を与えるために降りてくる「年神様」にお供えするのが神聖な「鏡餅」です。鏡餅の他、家族分の小さな餅を供え、それを家長が家族に分け与えたのが「お年玉(年魂)」のルーツといわれています。その餅をいただくための料理が「お雑煮」で、餅を食べて一年を元気に過ごす、年神様の力をいただくことでもありました。1月11日(地域によって違いがあります)に食べる鏡餅は「歯固め餅」とも呼ばれ、お正月の最後に鏡餅を食べて歯を丈夫にするという意味があり、長寿を願うものだそうです。年齢という言葉に「歯」の字が含まれているように、健康と長寿には歯が大切だと考えられていたのですね。
 餅は神聖な食べものとして扱われるだけではなく、主要街道の峠の茶屋で「力餅」として供されるなど、重要な栄養源としても知られていました。餅の原料であるもち米と日ごろ主食としているうるち米との違いは粘り気です。米のでんぷんの成分はアミロースとアミロペクチン。このアミロペクチンは水と一緒に加熱すると粘り気が出るという性質があります。もち米のでんぷんはほぼ100%がアミロペクチンのため、モチモチ。粘りがあるので分解に時間がかかり、ゆっくりと消化吸収されるので腹持ちがいいのです。
 マラソンなど持久力を要する競技は、糖質の摂り方が勝敗のカギを握るといっても過言ではありません。試合中に糖質が不足すると、脳までガス欠状態になりフラフラに。餅にはエネルギー源となるこの”糖質(炭水化物)”が多く含まれています。100g当たりの炭水化物量は、ごはんが37.1gに対して、餅は50.8gです。必要なエネルギーを体内に蓄えるためにランナーなどが行う食事法をカーボローディングと呼びます。体に取り込んだ糖質は血中グルコースになってエネルギーとして巡り、残りは筋肉と肝臓にグリコーゲンとして蓄えられます。少量でもエネルギー補給源になる餅はカーボローディングにおすすめです。試合当日は消化時間を考慮して、競技開始の3~4時間前に食べましょう。試合前の緊張で食べ物が喉を通らない場合は味噌汁などに入れると食べやすくなります。
 餅のエネルギーを早く活用したい!という場合は、消化酵素が含まれた大根おろしをからませた「からみ餅」を。寒い日にホッとするお汁粉は、小豆に疲労回復効果のあるビタミンB1が含まれており、食物繊維やたんぱく質も摂れるので、餅と一緒に食べれば元気いっぱい理にかなった取り合わせといえます。
 切餅などを保存食として常備している家庭も多く、焼き餅にしょう油と海苔の磯辺巻きはもちろん、きなこ、チーズ、納豆などの他、お気に入りの取り合わせを家族みんなで探してみるのも面白いですね。ご飯やパンの代わりに主食にしたり、スープやお惣菜、おやつなど変幻自在に利用でき、一年中いつでも楽しめる魅力的な食材です。

全農では、おめでたい日(ハレの日)にオススメのアレンジレシピや豆知識を掲載したもち米関連サイト「ハレの日にはもちを」を開設しました。ぜひご覧ください。https://dodontodonburi.com/mochigome/

参考資料:農林水産省「aff」(2011.1月号)、米穀機構米ネット(www.komenet.jp)
100%お餅ミュージアム (http://www.omochi100.jp/)

2021.12更新

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