機能性表示食品とは、制度化されている3つの保健機能食品のひとつで、特定保健用食品(トクホ)と同じように「○○の機能があります」と健康の維持や増進に役立つ機能性を表示することができる食品です。
トクホは有効性や安全性を国が審査し、許可を受けたものですが、機能性表示食品は事業者の責任で保健機能を表示します。その食品の安全性や機能性に関する科学的根拠などを消費者庁に届け出ることにより、表示できます。
3つ目の栄養機能食品は、ビタミンやミネラルなど特定の栄養成分について、含有量などの基準を満たしていれば、国への許可申請や届け出の必要はなく、「カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です」など、決められた表現に限り使うことができるものです。
機能性表示食品の届け出には、保健機能に関わる成分の含有量を明らかにして、1日当たりの摂取目安量を設定する必要があります。しかし、工業製品とは違い、生鮮食品では、生産物に含まれる成分量にバラつきがでるため、届け出は容易ではありません。
生鮮食品で初めて表示が登録されたのは「三ヶ日みかん」です。機能性関与成分であるβ-クリプトキサンチンの濃度と糖度との相関が高いことを示し、光センサー選果機による糖度選別が含有量の保証に有効であることが判明。その後、JAみっかびから静岡県下の産地で次々と申請が受理され、全国各地のJAや個人農園へと広がっていきました。「β-クリプトキサンチンは骨代謝の働きを助けることにより、骨の健康維持に役立つことが報告されています」とパッケージ等に表示できます。味や風味などの特徴だけでなく、「1日当たり可食部270g(約3個)を目安に摂取することで骨の健康維持に役立つ」ことも、温州みかんの魅力のひとつになるのです。
また、全農長野県本部では「長野県JA産えのきたけ」という商品名で届け出、「GABAには血圧が高めの方の血圧を下げる機能がある」と、パッケージに表示して出荷しています。ぶどうも同様に関与成分GABAで、商品名「毎日グレープ(ナガノパープル)」が受理されています。ほかにも、かぼちゃやほうれん草のルテイン、ナス由来コリンエステル(アセチルコリン)、リンゴ由来プロシアニジンなど、野菜や果物の機能性関与成分は多彩です。
トマトに含まれるGABAの例ですが、トクホでは認められていない「疲労」「ストレス」も機能性表示食品なら、「GABAには、仕事や勉強による一時的な精神的ストレスや疲労感を緩和する機能があることが報告されています」という表示が可能です。
ただし、これらの食品は、成人で健康な人を対象としています。医薬品と同じような効き目があると誤解しないよう注意しましょう。また、たくさん摂取すればよいものではありません。パッケージには、1日当たりの摂取目安量、摂取の方法、注意事項が表示されていますので守るようにしましょう。健康を維持するためには主食、主菜、副菜を摂り入れたバランスのとれた食生活が基本です。自分に合った保健機能食品を上手に選んで活用し、健康で豊かな食生活を送りましょう。
■機能性表示食品(野菜・果実)の詳細はこちら【農林水産省】