食料輸送から考える【フードマイレージ】

近くでとれた旬の作物を食べて
地球にやさしい生活を送りましょう

フードマイレージという考え方をご存じですか?
食べ物(フード)が生産されてから食卓に運ばれるまでにかかった距離(マイレージ)を表した指標です。
この値が小さければ小さいほど、地球環境にやさしいといえます。
果たして日本のフードマイレージは? 詳しくみていきましょう。

 フードマイレージは「食料の量×輸送距離」で計算し、単位はt・km(トン・キロメートル)で表します。例えば、2tの野菜を1万km離れた場所から輸入したら、2万t・kmです。国内のスーパーに、北海道産とメキシコ産のかぼちゃが並んでいたとします。同じ重さのかぼちゃ1個では、輸送距離はメキシコからの方が長いため、当然メキシコ産かぼちゃの方がフードマイレージは大きくなります。
 フードマイレージが大きいと、輸送にエネルギーを使い、CO2の排出増加につながります。つまり、それだけ環境に負荷をかけているといえます。
 この指標は輸送量と輸送距離だけで計算しているので、船・鉄道・トラックなどの輸送手段による燃費やCO2の排出量の違いは加味されていません。フードマイレージは輸送距離に特化した指標だということを理解した上で、環境負荷を考える一助にしてください。

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 ところで、日本のフードマイレージは、諸外国の中でどうなのでしょうか。6ヵ国の比較データ※1 から、日本のフードマイレージは年間9000億t・kmと断トツに大きく、韓国・アメリカの約3倍、イギリス・ドイツの約4倍、フランスに至ってはその約9倍にもなっています。この数字からCO2排出量を推計すると1690万tとなり、国民一人当たりでは年間約130kg。私たちが毎日テレビを見る時間を1時間減らしても11年かかる量で、いかに膨大な量のCO2を排出しているかが分かります。日本の食料自給率は低く、約6割を輸入に頼っています。加えて、主要な輸入相手国はアメリカやカナダなどのため、輸送距離も長くなっているのです。
 フードマイレージを減らすには、なるべく近くの地域でとれた食物を選ぶこと。地元でとれたものは新鮮で、旬の作物は値段も手頃です。私たち一人ひとりの行動が大切なのです。
 さらに、バーチャルウォーター(仮想水)という考え方があります。食料などを輸入した国で、もしそれを自国で生産したら水をどのくらい必要としたか、を推定したものです。例えばキウイフルーツ3個を生産するには約209Lの水が必要です。家庭の浴槽が200Lくらいなので、同程度の外国の水を使い、自国の水は使わずに済んでいることになります。肉は、飼料の栽培に使った水も換算されるので、1kgの牛肉を生産するには約2万Lもの水が必要になります。このように輸入品を水に置き換えると、日本が輸入したバーチャルウォーターの年間量は、なんと約800億m3※2 その大半が食料によるもので、日本の年間水使用量とほぼ同じです。日本の食生活が海外の水資源に大きく頼っているという側面が見えてきます。世界で起こる水不足やそれに付随する問題と無縁ではいられないのです。
 2022年度の日本の食料自給率(カロリーベース)は38%でした。世界情勢の悪化やエネルギーの急騰、異常気象による穀物の国際価格の高騰など、輸入のリスクも考慮し、今こそ日本の食料について、みんなで考えるときではないでしょうか。
 毎日の食生活で口にするものがどこで生産されたのか、「食」と「農」の距離を意識してみませんか。買い物で国産を選び、国消国産・地産地消を心がけ、旬の食材へ目を向け食への関心を高めることは、地球にやさしく持続可能な食生活につながります。

※1 農林水産省:「フードマイレージ」について(2008.9/30 資料)
https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/goudou/06/pdf/data2.pdf

※2 環境省:virtual waterより(2005年データの試算による)
https://www.env.go.jp/water/virtual_water/

2024.02更新

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