いも類のでん粉が主原料の【国産はるさめ】

つるっと、もちっと日本人好みの食感で、
出汁の味がよくしみて使いやすい「国産はるさめ」

サラダや炒め物、スープなどによく使われる春雨。
店頭に並ぶ春雨はほとんどが中国産の「緑豆(りょくとう)春雨」ですが、「国産はるさめ」もあります。
日本で付けられた「春雨」を総称として、中国産も韓国産も「春雨」と呼ばれていますが、使われているでん粉の原材料が違います。でん粉によって食感や特性が違うので、適した料理も異なります。春雨の特徴を詳しくみていきましょう。

 春雨は中国で1000年ほど前から作られ、「粉絲(フェンスー)」などと呼ばれています。日本には禅僧が鎌倉時代に精進料理の食材として伝えたといわれています。
 春雨は中国を発祥の地として、緑豆を原料に作られてきました。現在でも中国の春雨は緑豆やエンドウ豆のでん粉から作られます。日本で一般に春雨が食べられるようになったのは大正時代で、輸入された麺が販売されていました。国内でも緑豆春雨を作ろうとしましたが緑豆の調達が難しく、代わりに馬鈴しょ(ジャガイモ)と甘しょ(サツマイモ)のでん粉を使った春雨が開発されました。そうめんやうどんの製造技術を生かして、奈良県の会社が1937年に初めて「国産はるさめ」を製造しました。戦時中ということもあり、消化のよいでん粉質が求められ、軍用食として利用されたそうです。
 豆系でん粉と違い、「国産はるさめ」のいも系でん粉は粘性や水分保持力が強く、ゆでた麺がくっつき、1本1本をほぐして乾燥させるのが大変な苦労でした。こねたでん粉生地を小さな穴から湯の中に落として、糸状の麺をゆでて水で冷やし、さらに冷凍し、乾燥させる「落下式冷凍製法」を開発したことで、麺同士のくっつきが解消されました。冷凍させることにより、麺内の水分がしみ出し気泡が生じます。その気泡によりくっつきは解消され、気泡でできた空洞が麺にあることによって、料理の味もよくしみ込みます。いも本来のでん粉の特徴も加わり、つるっと滑らかで喉ごしがよく、もちもちとした日本人好みの国産はるさめが出来上がりました。春雨の名前は製造工程で小さな穴から細く流れ落ちる様子が、しとしと降る春の雨を思わせることから命名されたそうです。
 原料の違いによる、各国の春雨の食感や特性をみてみましょう。中国の緑豆春雨はコシが強く弾力があります。熱に強くて煮崩れしにくいことから、炒め物や鍋物、スープの具などに適しています。韓国の春雨はサツマイモのでん粉で作られています。韓国の春雨も熱に強く、程よい弾力性とコシがあり、チャプチェという炒め物に欠かせません。国産はるさめは火の通りが早く冷めても硬くなりにくいので、さっとゆでて酢の物や和え物、タレの味がよくなじむのでサラダや煮物などに利用すると美味しくいただけます。
 春雨によく似た「ビーフン」は米粉が原料で、ライスヌードルとも呼ばれます。春雨もビーフンも小麦粉が使われていないグルテンフリーヌードルとして、小麦アレルギーの人などに支持されています。
 カロリーをみると、春雨はでん粉が主原料なので100g当たり約350キロカロリーあります。一見多そうにみえますが、乾燥食品なのでゆで戻すと4倍以上になります。水を含んだ状態の100gでは?そう、カロリーは約4分の1に。春雨は様々な料理にアレンジできるので、肉や野菜などをたっぷり入れてどうぞ。国産はるさめは水分をよく吸うので、味だけでなく、調理の過程で流れ出る食材の栄養成分もよくしみ込みます。

なるほど情報

「国産はるさめ」のおいしさ発見 全農グループ飲食店舗でフェア

JA全農は、日本で初めて国産はるさめを製造した森井食品(株)とのコラボレーションで「国産はるさめフェア」を、2020年夏に直営の飲食店舗で開催。同フェアでは、国産はるさめを使ったサラダやミートソース、冷やし中華など、自宅でも試したくなるようなメニューを提供しました。
「国産はるさめがあることを初めて知った」「食感に驚き。味もしみてとても美味しかった」など、多くのお客様から好評をいただきました。国産原料100%の国産はるさめを選んで食べていただくことで需要を高め、国産でん粉の原料となる北海道産馬鈴しょや鹿児島県産甘しょの作付け増加と食料自給率向上につなげていければうれしいです。

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2021.05更新

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