その原因のひとつが香酸柑橘の「敷居の高さ」。フルーツとしての柑橘はそのまま食べるだけですが、香酸柑橘はどの料理に合うか考えるところから始まります。それでも、絞った料理の味を酸味と香りで引き立てることができ、更には各産地の食文化とも結びつきが深いこのジャンルは知れば知るほど魅力的です。
最近レモンブームがきている中で、香酸柑橘が持つポテンシャルもとても高いと感じています。香酸柑橘の世界が身近なものになるために、まずは「手軽に試してみたくなる香酸柑橘入門レシピ」として、次の3つの楽しみ方を紹介します。
①牛乳と合わせる
牛乳200ccに対して、香酸柑橘(どんな品種でもOK)を半玉ぎゅっと絞りかき混ぜてください。皮を下にして絞ると皮に沢山含まれる香りや酸味も一緒に絞れて味わいが増します。香酸柑橘の酸味がまろやかさを増し、ラッシーのような味わいになります。もし複数品種ある場合は牛乳の代わりに、砂糖不使用の炭酸水に絞って味と香りの違いを楽しむのもおすすめです。
②果物と合わせる
料理に合わせるイメージが強いですが、実は甘みの強い果物とも相性は抜群。特に梨・柿がおすすめです。酸味を足したにも関わらず、フルーツ本来が持つ甘さが一層引き立つ不思議な体験をすることができます。料理を食べた後のデザートとしていかがでしょうか。
「すだち」といえば徳島、「かぼす」といえば大分と連想されるように、香酸柑橘は産地との結びつきがとても強い食材です。そのため、産地出身の友人などがいたら、美味しい食べ合わせをぜひ聞いてみてください。次のふたつは私が実際に産地の農家さんからお聞きした楽しみ方です。
「焼酎のかぼす氷割り」(大分県)
製氷皿に注ぐ水にかぼす果汁を加える。焼酎を飲む際に、完成したほんのりかぼす味がする氷で割り、さらにかぼすを追い絞りして贅沢に飲む。
「すだちの皮すりおろし冷奴」(徳島県)
豆腐にすりおろしたすだちの皮をのせ、醤油をかけていただく。皮に豊かに含まれている香りが口に含むと溢れてきます。
”絞る”だけでも楽しくなれる香酸柑橘。そしてそこから広がる、品種ごとに存在する食べ合わせの探求の世界。ぜひ、紹介したレシピを気軽に試して、香酸柑橘ワールドの扉を開けてみていただけたら嬉しいです。
プロフィール
清原 優太(きよはらゆうた)
1993年、東京都生まれ。東京大学在学中の2014年「東大みかん愛好会」を設立。2016年「株式会社みかん」設立、代表。柑橘の定期便「柑味」の運営や、「日本みかんサミット」「香酸柑橘サミット」の主催など、国産柑橘の販売・普及活動を行う。
