May

サツマイモ

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

暑さや乾燥に強く、連作障害も起きにくいので、家庭菜園の初心者にもおすすめです。
通気性と排水性がよい土壌を好むため高畝にして育てましょう。
秋にはイモ掘りが楽しめます。

 サツマイモは根が肥大したヒルガオ科の野菜で、形や食感、味など品種が多くいろいろ楽しめます。生育適温は16~35℃で、イモの肥大には20~30℃が適しています。植えつけまでに畑をよく耕し、畝はカマボコ型に土を盛って20~30cmの高畝にしましょう。黒色マルチを張ると地温と適度な水分が保たれ、苗からの発根がよくなり、雑草防止にもなります。
 苗は種イモから伸びた蔓を6~8節つけて切り取った「蔓苗」(さし穂)を植えつけます。「水平植え」や「斜め植え」「垂直植え」などの方法があるので、苗の長短や収穫したいイモの数、畑の広さなどに合わせて選択しましょう。遅霜の心配がなくなり地温15℃以上になったら植えつけます。
 寒さに弱いので霜が降りる前には収穫を済ませます。収穫後、2~3週間貯蔵して追熟させると、甘みが増しておいしくなります。

苗の準備

茎が太く本葉が6~8枚ついた、長さ25~30cmの元気な蔓苗を選びましょう。

苗の準備

苗の切り口を水につけてたっぷり吸わせ、葉がピンとなったものを植えつけます。

植えつけ

【水平植え】深さ5~10cmの植え溝を掘り、畝と平行に、苗を水平に寝かせて5~6節を土に埋めこみます。節がたくさんついた長い苗向きで、イモ数が多くなります。
【斜め植え】支柱などを使って斜め45度、深さ10~15cm位の植え穴をあけ、畝と平行に3~4節が埋まるように植えつけます。短い苗向きです。
【垂直植え】土の中に3~4節が埋まるように苗を垂直に差し込みます。狭いスペースの栽培に適し、イモ数は少ないですが一つひとつのイモが大きくなります。

植えつけ

イモは茎の節(葉のつけ根)から出た新しい根にできるので、節が土の中に入るように植えて葉の部分は地上に出します。植えつけ後は株元を手で軽く押さえ、たっぷりと水やりしましょう。基本的に水やりの必要はありませんが、根が出るまで1週間位は畑の表面が乾いていたら水やりしましょう。追肥は不要です。

収穫

植えつけ後120~150日が目安です。畝が盛り上がり茎葉が黄色くなり始めたら、晴れた日の午前中に収穫します。まず、蔓を鎌で刈り取り、イモを傷つけないように株から30~40cm離れた場所に鍬などを差し込んで掘り起こします。半日ほど畑に並べて干してから泥を落として集めます。

保存

風通しのよい日陰で2~3週間陰干しすると甘みが増します。イモは寒さに弱く、10℃以下になると黒く変色し傷んでしまいます。長期保存する場合は、新聞紙などで1つずつ包み、ダンボールや発泡スチロールの箱に入れて室内に置きましょう。

●土づくりワンポイントアドバイス
指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)
苗を植えつける1ヵ月以上前に、完熟堆肥を1m2あたり1kg施用して深く耕して下さい。植えつけ直前の堆肥や未熟堆肥の施用は、イモの表面の肌荒れやコガネムシ被害の原因となります。植えつけまでに時間がとれない場合には、堆肥施用は控えて下さい。過去1年以内に石灰類を施用していない場合は、苦土石灰1m2あたり100gも施用して下さい。元肥の窒素成分の施用量は1m2あたり2~3g程度と、かなり少なめです。化成肥料(8-8-8)を利用する場合、1m2あたり30g程度に相当します。植えつけの1週間前に施用し土に混ぜ込んで下さい。窒素肥料のやりすぎは、蔓ばかりが伸びて芋の肥大や品質が悪くなる「蔓ボケ」の原因になります。サツマイモは「完熟堆肥で土づくりを行い、窒素肥料は控えめに」です。

●サツマイモの栽培スケジュール サツマイモの栽培スケジュール

2023.05更新

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