乳牛からの贈り物【牛乳】

6月は牛乳月間です。
酪農のこと、みんなで考えてみませんか?

日本人にとって大切な食料である牛乳と乳製品。その原料となる生乳は、母牛からの恵みです。
乳牛は誕生してから、出産して生乳が搾れるようになるまで、2年以上かかります。
生乳の生産量は工業製品のように、簡単に増やしたり、減らしたりすることができません。

 昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、生乳生産量がピークを迎える春先に、休校にともなう学校給食用牛乳の供給停止や外食産業の休業などで、生乳の需要が大きく減少してしまいました。生乳は栄養豊富な反面、保存がきかないため、行き場を失った時に廃棄の危機に直面しやすい農畜産物です。そんな窮地を日本中の消費者の皆さまに助けていただきました。一滴も無駄にすることなく乗り越えることができたのは、ステイホームのなかでも牛乳を飲み、ヨーグルトやチーズを食べてくれた皆さまのおかげです。
 乳牛は暑さに弱く、夏は体力が落ちて乳量が減少します。逆に寒さには強く、冬はエサをたくさん食べて、春先にかけて乳量は増加します。昨年の夏は、連日の酷暑によって都府県の生乳生産量が減少しました。都府県より涼しく生産量の多い北海道からの輸送量を最大限にして対応しましたが、コロナ禍で夏休みが短縮され、給食用牛乳を例年以上に製造しなければならない状況になり、春先から一転し、需要に対して生乳が不足ぎみになりました。
 2019年度の国内生乳生産量約736万トンのうち、飲用牛乳の製造量は約316万トンあり、学校給食向けは約1割を占めます。都府県では生乳生産量が多い時期は保存性のある乳製品を製造し、生乳生産量の少ない時期は北海道から生乳を運んで需給調整をしていますが、ここ数年悩まされているのが北海道から都府県に生乳を運ぶ大型船が台風でストップすること。想定を超える風雨災害や地震、新型コロナウイルスのような疾病の流行など、季節以外の影響によっても、生乳の需要と供給のバランスが崩れることがあります。
 酪農家は一年を通して、乳牛が健康で快適に過ごせるように気を配りながら、安全で安心な生乳を生産するため日々がんばっています。牛乳や乳製品がいつでも食卓で味わえるよう、全農は酪農関係の全国機関や指定生乳生産者団体(※)と連携して需給の安定化を目指すとともに、酪農の理解醸成に取り組んでいますので、酪農家への変わらぬ応援をよろしくお願いいたします。

(※)指定生乳生産者団体:酪農家から販売委託を受け、乳業メーカーとの交渉や集乳などを行う。

img_w
2021年3月の新聞広告です。2007年からその時々の事象をテーマに展開してきた新聞広告シリーズはこちらからご覧いただけます。

参考:中央酪農会議

2021.06更新

閲覧数ランキング