単肥とはどのような肥料ですか。代表的な単肥の特徴を教えてください。

指導◎岡本 保(JA全農 肥料研究室技術主管)イラスト◎かとうともこ

Q単肥とはどのような肥料ですか。代表的な単肥の特徴を教えてください。

A 単肥とは、肥料の3要素(WEB限定家庭菜園3月号参照)のうち、1要素のみを含んでいる肥料のことです。これに対して2要素以上を含む肥料のことを複合肥料と呼びます。現在、プロの農家の人が使用している肥料や、家庭菜園用に園芸店等で市販されている肥料は、複合肥料が多くなっていますが、単肥にもその特徴を生かした用途があります。
 代表的な単肥とその特徴は以下のとおりです。

 窒素の単肥:①硫酸アンモニウム、②硝酸アンモニウム、③塩化アンモニウム、④尿素、これらの特徴は水に溶けやすく効果が速く現れること。

 リンの単肥:①過リン酸石灰(特徴:水に溶けやすく速効性だが、土に強力に吸収されて植物の根が吸収できない形に変化しやすい)、②熔燐(特徴:水に溶けにくく、効果の発現が遅いが、土には吸収されにくく、植物にじわじわと吸収される)、③重焼燐(特徴:水に溶けやすい成分と溶けにくい成分を半々含み、過リン酸石灰と熔燐の中間の性質を示す)。

 カリウムの単肥:①硫酸カリ、②塩化カリ、これらの特徴は水に溶けやすく効果が速く現れること。

 単肥の用途としては、例えば以下のような場面が考えられます。
 土づくりのために牛ふん堆肥を施用した場合、同堆肥にはリンやカリが多く含まれていることがあるので、窒素の単肥だけを施用すれば3要素が賄える場合があります。また同様に、鶏ふん堆肥には窒素とリンが多く含まれていることがあるので、カリの単肥だけを施用すれば3要素を賄える場合があります。市販の堆肥には、肥料成分含有量の分析例が表示されているので、肥料成分が堆肥からどの程度補給されるのかを確認できます。

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2022.04更新

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