コラム 記事一覧

ふるさと探訪

日本各地の農畜産物を産地からリポート

ビッグな新品種 やまがた紅王べにおう

文◎編集部 撮影◎磯野博正

口に入れると甘くてジューシーな果汁が広がるさくらんぼ。
「赤い宝石」とも例えられる人気者です。
2023年、さくらんぼの生産量全国一を誇る山形県で、新品種「やまがた紅王」がデビューしました。
一粒のサイズが500円玉より大きく、まさに「王」を冠するにふさわしい姿。
佐藤錦、紅秀峰に並ぶブランド化を目指し、2018年から山形県下で栽培に取り組んでいます。
産地のひとつ、JAさがえ西村山を訪ねました。

名乗れるのは2L以上の大玉のみ

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「やまがた紅王」の栽培に挑む土田真澄さんと土田直子さん親子

 山形県のほぼ中央に位置し、最上川と寒河江川が町を包むように流れる寒河江市。「やまがた紅王」は、1997年から寒河江市の旧 県園芸試験場(現 県農業総合研究センター園芸農業研究所)が20年以上の歳月をかけて開発。「紅さやか」と「レーニア」の交雑種に、大玉の「紅秀峰」を交配して育成され、名称募集で寄せられた約1万5000件の中から「さくらんぼの王様の風格と親しみやすさを兼ね備えた名前」としてつけられました。「着色50%以上で2L(直径2.5センチ)以上という厳しい出荷規格があります。標準で3~4Lと大玉で食べ応えがある点が魅力です。少し酸味がありますが後から強い甘みを感じるので、酸味と甘みのある“佐藤錦”や、酸味がなく甘味が強い“紅秀峰”とはまた違った味わいが楽しめます」とJAさがえ西村山広報担当推進役の伊藤芳明さん。
 山形県では「佐藤錦」「紅秀峰」に続く第三のブランドとするべく、果樹で初となる生産者登録制度を導入。2018年から苗木を配布して栽培を始め、2023年から本格出荷となりました。
 「JAさがえ西村山は山形県内でも“紅秀峰”の産地として技術力に定評があるので、大玉の“やまがた紅王”も今後広げていきたいです。中生種の「佐藤錦」と晩生種の「紅秀峰」の間、6月下旬から7月上旬に収穫できる「やまがた紅王」は中継ぎ役としても期待されています」と、伊藤さん。
 「佐藤錦」と比べて果肉がしっかりしていて輸送しやすいことから輸出を視野に入れ、中国や韓国などアジア各国でも商標登録を出願しています。

収穫量増大へ向け栽培研究

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 約130アールの土地で、「佐藤錦」約100本、「紅秀峰」約60本、「やまがた紅王」15本を栽培している生産者の土田真澄さん。5年前に、代々続く農家を継いだ若手生産者です。「大学卒業後は農業資材の会社で働いていました。しかし、広いさくらんぼ園を自分の代で止めてしまうのは惜しいと思ったんです」と、土田さん。「やまがた紅王」は他の品種と比べて実がしっかりとして日持ちがするため、品質を損なわずに輸送できることから、日本各地はもちろん、海外でも高い評価を得られると期待されています。将来の可能性にチャレンジしてみたいと、苗木の配布が始まった2018年に生産者登録を行い、栽培を始めました。
 「3年目辺りから大きな実がつくようになってきました。まだ若木で結実が少なめですが、10年を経て成木となれば、収穫量が見込めるようになります。それまでに樹形を作業効率のよいY字仕立てにするなど栽培環境を確立させたいですね」と、今後の見通しを話す土田さん。芽かきのバランスや結実性を高める方法、着色具合など、質の高いさくらんぼが収穫できるようJAでの勉強会にも積極的に参加しています。
 収穫は、実がパリッとおいしい状態で出荷するため短期決戦。「朝の5時から8時まで摘み取り、作業場で10時頃まで一粒一粒大きさや色、形などを選別し、箱詰めして集出荷場に16時までに出荷します。ピーク時は19時までの夜間出荷をすることもあります」。

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作業場では「佐藤錦」の選別中。「やまがた紅王」も同様に、傷果など一粒ずつチェックし、サイズ別に詰めていきます
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500円玉よりも大きいサイズ。規格表に合わせて2.5cmの2Lから、3.1cmの4Lに分けます

 収穫が終わると来年に向けての準備です。夏は草取りやダニなどの防除、木の剪定など、春は遅霜で蕾を枯死させないための作業や授粉、実が大きく膨らむ時期には水やりや雨除けの設置と、まさに“子育てと同じ”ように手間ひまをかけて育てます。そこにやりがいを感じると話す土田さん。
 「栽培は試行錯誤の連続です。でも手をかければかけた分、形になることに面白さを感じます。地域に同じ年代の若手生産者がいて情報交換できる点も心強いです」。
 山形県期待の新品種「やまがた紅王」。2022年のプレデビュー販売当日はJAの直売所に開店前から長蛇の列ができるなど、期待の高さがうかがえました。食べ応えのある大きさ、甘味と酸味のバランスなど、一度試しておいしさを実感してください。
(取材:2022年6月下旬)

伊藤芳明さん
「大玉なので、果肉が多く満足感があります」と、JAさがえ西村山の伊藤芳明さん

●山形県下(JAさがえ西村山含む)

【さくらんぼ(やまがた紅王)】生産概要
生産者:約2706名
栽培面積:約150ヘクタール
出荷量:約20トン(2023年出荷見込み)
主な出荷先:関東、関西など

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読者のわが家の味を料理のプロが再現!

モリモリ食べられる炒め物緑野菜たっぷりペペロンチーノ風

長野県・たえさん

1人分:約170kcal 調理時間:約20分

材料4人分

  • レタス 1/2個(200g)
  • ズッキーニ 1本(200g)
  • さやいんげん 100g
  • オクラ 8本
  • にんにく 大1片
  • 赤唐辛子 1本
  • 3個
  • 小さじ1
  • こしょう 少々
  • オリーブ油 大さじ3

作り方

  1. レタスは4~5cm四方にちぎる。ズッキーニは1cm厚さの輪切りにする。さやいんげんはへたを切り、長さを半分に切る。オクラはガクをそぎ取る。にんにくはみじん切りにする。赤唐辛子は種を取り、輪切りにする。

  2. ボウルに卵を割りほぐし、フライパンにオリーブ油大さじ1を熱して卵を流し入れ、大きくかき混ぜて大きめの炒り卵を作り、取り出す。

  3. 2のフライパンにオリーブ油大さじ1を足して熱し、ズッキーニ、さやいんげん、オクラを入れて弱めの中火で両面を焼き付けて、しんなりしたら取り出す。

  4. フライパンに残りの油、にんにくを入れて弱火で熱し、赤唐辛子、レタスを入れて中火でさっと炒め、蓋をして弱火で1~2分しんなりするまで火を通す。

  5. 423を戻し入れて塩、こしょうで調味して炒め合わせる。

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モリモリ食べられる炒め物キャベツとあさりのカレー炒め

長野県・金ちゃんさん

1人分:約175kcal 調理時間:約25分

材料4人分

  • キャベツ 400g
  • たまねぎ 1/2個
  • にんじん 3cm分
  • しめじ 60g
  • グリーンアスパラガス 4本
  • とうもろこし 1本
  • にんにく 1片
  • あさりのむき身(ボイルまたは冷凍) 120g
  • カレー粉 小さじ2
  • 大さじ1
  • しょう油 小さじ1
  • 小さじ1
  • こしょう 少々
  • 1/3カップ
  • サラダ油 大さじ2

作り方

  1. キャベツは3~4cm四方に切る。たまねぎは縦1cm幅に切る。にんじんは1cm幅の短冊切りにする。しめじは根元を切り落とし、食べやすくほぐす。アスパラガスは3cm長さの斜め切りにする。とうもろこしは包丁で実を切り離す。にんにくはみじん切りにする。

  2. フライパンに油、にんにくを入れて弱火で熱し、あさり、たまねぎ、にんじん、しめじを入れてしんなりするまで炒め、キャベツ、アスパラガス、とうもろこしを加えて炒め、水を加えて蓋をしてしんなりするまで火を通す。

  3. 2にカレー粉をふって炒め、酒をふり、塩、こしょう、しょう油で調味して炒め合わせる。

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モリモリ食べられる炒め物梅風味のもやし炒め

東京都・うめさん

1人分:約175kcal 調理時間:約15分

材料4人分

  • 鶏ひき肉 200g
  • もやし 2袋
  • にら 1束
  • 梅干し 3個
  • 大さじ1
  • 塩、こしょう 各少々
  • サラダ油 大さじ2

作り方

  1. もやしは洗って水気をよくきる。にらは3cm長さに切る。梅干しは種を取り、包丁で細かく叩く。

  2. フライパンに油大さじ1.5を熱し、もやしを入れて強火で少ししんなりするまで炒め、にらを加えてさっと炒めて取り出す。

  3. 2のフライパンに残りの油を入れて熱し、ひき肉を入れてほぐすように炒める。肉の色が変わってポロポロになったら、梅干しを加えて炒め、酒をふり、2を戻し入れて、塩、こしょうで調味して炒め合わせる。

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野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

オクラ

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

夏野菜として人気のオクラ。
暑さに強くて収穫量も多く、初心者にもおすすめです。
断面が五角形のものや丸いもの、赤い色など品種も多く、ハイビスカス似の花も楽しめます。
寒さに弱いので、焦らず十分暖かくなってからたねまきをしましょう。

 高温性野菜のため、10℃以下では低温障害をおこして育たなくなります。発芽地温は25~30℃と高温なので、ポリポットにたねまきをして暖かい場所に置いて管理しましょう。
 根が真っすぐ伸びる直根性で、耕土が深く排水性のよい土を好みます。水はけが悪いと根腐れを起こしやすいので高畝にするなど対策をするとよいでしょう。初期成長はゆっくりですが、暑くなるとぐんぐん生育して実をつけ、背丈が2メートル位にもなります。下葉を切り取って(摘葉)樹勢を抑え、風通しをよくし、追肥のたびに土寄せを行い株が倒れないようにしましょう。
 成長が早いので花が咲いたら毎日観察して採り遅れないことがポイントです。新しい蕾ができなくなったり実が大きくならなくなったら終わりのサインです。連作障害があるので同じ畑は2年以上あけましょう。

たねまき

たねは皮が硬いので一昼夜水につけてからまくと発芽がよくなります。ポリポットに深さ1cm位のまき穴を作り3~4粒の点まきにして土をかぶせ、手で軽くおさえます。水やりをして暖かい場所に置きましょう。

間引き

5~10日で発芽します。本葉2~3枚で2本立ちに、本葉3~4枚で1本立ちに間引きます。

植えつけ

本葉4~5枚になったら畑に植え穴を掘り、根鉢を崩さないように植えつけます。株元を手でおさえて、たっぷり水やりしましょう。

追肥・土寄せ

一番果(最初の果実)の肥大が始まった頃から、1m2あたり化成肥料(8-8-8)20gを数回施用します。生育を見ながらこまめに追肥するのがコツ。2週間に1度位が目安です。土が乾いていたら追肥と同時に水やりすると、肥料の効きがよくなります。背丈が高くなるので同時に土寄せも行いましょう。

収穫

五角オクラの場合、開花から5~7日、長さ7~8cmが収穫適期です。ハサミで切り取って収穫しましょう。すぐに大きくなり、皮が硬くなるので早めの収穫を心がけます。丸オクラなど品種によって収穫適期が異なるので注意しましょう。

摘葉(下葉取り)

実を収穫したら、風通しをよくして病害虫の発生を防ぎ、樹勢を整えて株が倒れないように摘葉(下葉取り)します。収穫した実(節)から下の葉2~3枚を残して、それより下の葉を切り取ります。養分を上の葉に回すことができ、次々と実をつけ長く収穫が楽しめます。倒伏が心配なら支柱を立ててやりましょう。

●土づくりワンポイントアドバイス

指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)

植えつけの2週間以上前に、1m2あたり苦土石灰100gと完熟堆肥1kgを散布し(前作で施用していればどちらも不要)深く耕します。オクラの根は直根性で深く張るので、このときに深く耕しておくのがポイントです。 元肥は植えつけの1週間前に、1m2あたり化成肥料(8-8-8)100gを散布し土に混ぜ込みます。


●オクラの栽培スケジュール

(ベランダでも畑でも栽培できます)

スケジュール

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家庭菜園Q&A

家庭菜園のよくある質問に先生が回答

指導◎川城英夫(JA全農耕種総合対策部テクニカルアドバイザー) イラスト◎かとうともこQ.キュウリやスイカなどウリ科の整枝はどうしたらよいですか?

 摘芯や芽かき、剪定、誘引などを組み合わせて株の姿を整えることを整枝といいます。整枝をすることによって株の中まで風や光が入り、株が健全に育ちます。
 果菜類は着果すると光合成でできた養分の大半が果実に使われ、根や茎葉に回らなくなります。その結果、茎葉の生育がおとろえ、寿命が短くなったり、品質の良いものがとれなくなってしまいます。この着果負担は株が小さいうちほど影響が強くでます。
 そこで摘花や摘果を行うことが重要になります。早めの摘花・摘果によって植えつけ後にしっかり根を張らせ、その後の着果に耐える株を作れば、品質の良い果実をたくさん収穫することができます。
 これまで述べたことを念頭において整枝や摘果を行います。ここではウリ科の代表的な野菜であるキュウリとスイカの整枝法を紹介します。

【キュウリ】

 定植後、つるが伸びてきたら支柱やネットに誘引します。株元から5~6節までのわき芽(子づる)と雌花は早めに摘み取ります。親づるは支柱の高さで摘芯し、6~7節より上の子づる、孫づるは本葉1~2節残して摘心します。
 葉が茂ってきたら株元の老化葉や病気の葉を摘葉し、徐々に老化した上の葉も摘み取って風通しをよくします。

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【スイカ】

 苗を植えつけて活着したら本葉5~6枚を残して親づるを摘心します。子づるが50cmほどになったら生育のよいものを3~4本残してほかは元から摘み取ります。子づるが1mほどに伸びたら、つる先を20cmほどの間隔で一方向につるを配置(誘引)します。子づるからでる着果節より下の孫づるは小さいうちにかき取り、その先は草勢を維持するために放任にします。
 子づるには7~8節あたりに雌花の1番花がつき、以後5~6節おきに雌花がつきます。1番花に着果させると早く収穫できますが、小玉や変形果になりやすく、株の寿命を縮めます。大きい果実をとるためには17~22節につく3~4番花に授粉をして着果させます。

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「食」と「農」のエッセイ

日本ペンクラブ会員の著名人によるリレーエッセイ

第54回 金平茂紀さん
北海道の牛乳が飲みたい!

著者のプロフィールはこちら

 その人がどんな人かは、その人がそれまでの人生で何を食べてきたかでわかる。僕は北海道の旭川市で生まれ、父親の職業の関係で、札幌、小樽、旭川などに移り住み、少年時代を北海道で過ごした。懐かしい思い出は、北海道の食べ物にまつわるものが多い。ジンギスカン(ベルのたれ!)や旭川醤油ラーメン(蜂屋!)、タラバガニやホッケ、飯鮨(いずし)といったソウルフードをご存じない人とは、口もききたくない(と言うのは嘘です)。
 なかでも北海道と言えば何と言っても乳製品だった。◯◯乳業と言えば、道産子なら知らぬ者はいない。バター、チーズ、牛乳、アイスクリーム…。◯◯と伏字にしたのは、本誌が特定企業のPRをしちゃいけないんだろうなと、勝手にソンタクしてそうしたが、ほら、雪の結晶の中に北海道を象徴する北極星を組み合わせたロゴマークの有名なあれです。
 子どもだった食べ盛りの頃、僕らは自宅でも学校給食でも乳製品を当たり前のようにたくさん摂っていた。牛乳も当たり前のようにごくごく飲んだ。その頃から半世紀以上の歳月が過ぎ去っていった。



 北海道でも酪農の中心地のひとつである帯広市に昨年末うかがう機会があった。2022年という年は僕のようなテレビ報道にたずさわる人間にとっては大きな歴史的「分岐点」の年だった。コロナ禍が続く中で、海の向こうウクライナで戦争が始まった。その結果、酪農家の経営環境が激変、八方ふさがりの状況に陥っているのを目のあたりにした。酪農家の中には、手塩にかけて育てた乳牛から搾った生乳を、出荷せずに牧場内で廃棄する動きが出ていた。飼料価格が5割増し、燃料費も高騰、飲用乳の取引価格が低く抑えられ(「ペットボトルの水より安いんだわ」と吐き捨てるように酪農家は言っていた)、やむを得ず、生乳を家畜の排せつ物に混ぜて廃棄していたのだった。
 乳製品に恵まれた食物を摂ってきた身からみて、何か自分たちの生きてきた過去の大切な部分が廃棄されるような思いをいだいたのは、間違った思い込みだろうか。酪農家にも牛たちにも罪はない。江戸時代に「士農工商」との身分概念があったと昔の学校で習った。さしずめ今なら「官商工農・非正規」か。

イラスト:はやしみこ

金平茂紀(かねひら しげのり)

ジャーナリスト。1953年、北海道旭川市生まれ。1977年、TBS入社。以降、同局でモスクワ支局長、ワシントン支局長、報道局長などを歴任。2010年より「報道特集」キャスター。2022年9月以降、同番組の「特任キャスター」に。2004年度、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』など多数。

金平茂紀 (かねひら しげのり)
「じじつは じじつ、ほんとうの ことだよ―ちいさな かなしい じじつの おはなし」
イマジネイション・プラス
日本ペンクラブ

日本ペンクラブとは、詩人や脚本家、エッセイスト、編集者、小説家など、表現活動に専門的、職業的に携わる人々が参加、運営する団体です。
https://japanpen.or.jp/

なるほど全農

食と農についての「なるほど」な情報をお届け

善玉菌の強い味方【ヨーグルト】
ヨーグルトの風味や
機能を生み出す乳酸菌の力

発酵食品の代表選手であるヨーグルト。いろいろな種類の商品がありますが、どうやって作られているのでしょうか?
「農協牛乳」やメイトーブランドでおなじみの「ホームランバー®」など、牛乳・乳製品の製造・販売を行う全農グループの協同乳業(株)に、ヨーグルトについて聞いてみました。

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── そもそもヨーグルトとはどういう食品でしょうか?
 ヨーグルトは、牛乳などの乳に乳酸菌や酵母などを入れて発酵させた食品です。厚生労働省の乳等省令では「はっ酵乳」と呼ばれ、乳酸菌数または酵母数1000万/ml以上など成分基準が定められています。
 ヨーグルトは製法で大きく5種類に分けられます。牛乳などを乳酸菌で発酵させただけの「プレーンヨーグルト」、寒天やゼラチンなどで固めた「ハードヨーグルト」、ヨーグルトを攪拌(かくはん)して液状にした「ドリンクヨーグルト」、砂糖やフルーツを加えたデザート感覚の「ソフトヨーグルト」、ヨーグルトをアイスのように凍らせた「フローズンヨーグルト」です。凍結していても乳酸菌は生きています。

── ヨーグルトはどうやって作られるのですか?
 製造方法は、原料をタンクで発酵させ容器に充填する「前発酵」と、原料を容器に充填した後に発酵させる「後発酵」の2つのタイプがあります。プレーンヨーグルト、ハードヨーグルトなどは一般的には後発酵タイプです。
 ヨーグルトの製造に使われている乳酸菌は、主にブルガリクス菌、サーモフィルス菌などです。それぞれの菌はさまざまな特徴を持つため、乳酸菌の組み合わせにより、製品ごとに風味や機能などが変わってきます。

── 乳酸菌とはどういった菌ですか?
 乳酸菌とは、糖類を分解して多量の乳酸を生成する細菌の総称で、自然界に数多く存在します。ヨーグルトをはじめ、みそ、しょう油、漬物など、発酵食品の製造に大切な役割を果たしています。乳酸によって、牛乳のタンパク質は固まり、ヨーグルトの滑らかな食感と爽やかな酸味が生まれます。また酸は、腐敗菌や病原菌の増殖を防ぎます。ヨーグルトが牛乳より長持ちするのはそのためです。

── 乳酸菌は胃酸などで死んでしまうと聞きますが効果はありますか?
 ヨーグルトは、ミルクの栄養性に加え、乳酸菌の働きによる効果が期待できます。ヨーグルトの乳酸菌には、胃酸や胆汁酸などで死滅するものと、生きたまま腸に達するものがありますが、どちらも健康に効果があることが明らかになっています。
 生きて腸に達した菌は、腸内で乳酸を作ります。乳酸は腸内の他の微生物に利用され、腸内の有害菌を減らして腸の調子を整える効果があります。

── 「農協ヨーグルト」は、どんなこだわりがありますか?
 農協ヨーグルトには特選牛乳に使用する品質基準を満たす信州産生乳を100%使用し、季節によって変化する生乳の成分を生かすため、発酵時間の調整など細やかな工夫をしています。
 また、東京大学の研究で発見された「B1乳酸菌(11/19-B1乳酸菌)」と複数の乳酸菌を組み合わせることにより穏やかな酸味で、他のヨーグルトにはないミルクの繊細な風味を感じることができます。
 クリームや脱脂粉乳などの乳製品、砂糖などの糖類、固さを調整する寒天やゼラチン、人工甘味料や香料などを使用していない、生乳100%の農協ヨーグルトのおいしさをぜひ味わってください。

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※「特選牛乳」とは、全国飲用牛乳公正取引協議会が定める規格基準、生産管理基準を満たすことで使用することができる表示

プロのおすすめレシピ

料理のプロがすすめる旬の食材を使ったレシピ

ヨーグルトクリーム仕立てのタルトですさくらんぼのタルト

料理◎大森いく子 撮影◎黒部徹

1/6カット分:約220kcal 調理時間:約50分(ヨーグルトの水きり時間、冷蔵庫で冷やす時間除く)

材料直径15cmタルト型1台分

  • さくらんぼ 1パック(約200g)
  • プレーンヨーグルト 400g
  • バタービスケット 100g
  • 生クリーム 1/2カップ
  • バター(食塩不使用) 25g
  • はちみつ 小さじ2.5
  • グラニュー糖 大さじ1

作り方

  1. ヨーグルトは冷蔵庫で半日程水きりをする(約200gになる)。

  2. バターは柔らかくなるまで室温に戻す。

  3. タルト生地を作る。ビスケットをポリ袋に入れて、めん棒などで叩いて細かく砕き、2を加えてもみ混ぜる。全体に混ざったら、はちみつ小さじ1/2を加えてさらにもみ混ぜる。

  4. 底の抜けるタルト型の内側にバター(分量外)を薄く塗り、底紙を敷く。

  5. 43を入れ、ラップを上からかけて、タルト生地を底、側面全体に空気が入らないように、しっかりと押さえつけて広げ、型を整える。冷蔵庫で1時間、冷やし固める。

  6. 200℃に予熱したオーブンの中段で、全体に焼き色がつくまで、10分焼く。

  7. オーブンから出して型に入れたまま冷ましてから、冷蔵庫で1時間以上よく冷やす。

  8. ヨーグルトクリームを作る。生クリーム、グラニュー糖をボウルに入れて、底に氷水を当てながら、泡立て器で八分立てに泡立てる。

  9. 81、はちみつ小さじ2を加え、生クリームの泡をつぶさないように気をつけながら、ゴムべらで全体をゆっくり丁寧に混ぜ合わせる。

  10. 7の底板を下から押して、生地が型から外れることを確認したら、9のクリームを平らにのせ、さくらんぼを隙間なくのせる。さらに冷蔵庫で30分程よく冷やし、型から取り出す。

ココがポイント

型が崩れないよう、その都度よく冷やして仕上げていきます。
ヨーグルトのホエー(水きりした液)は、スープなどの料理に使えます。

料理の基本

切り方・煮方・揚げ方など調理の基本をプロが伝授

豚冷しゃぶ肉のゆで方

料理◎大庭英子 撮影◎榎本修

豚冷しゃぶはさっぱり食べられてスタミナもつく嬉しいメニューです。
肉にうま味をとじこめて、しっとりやわらかくゆでるコツをマスターしましょう。

作り方

  1. ゆで汁の用意

    鍋に水(5カップ)、ねぎの青い部分、しょうがの皮を入れて強火にかけ、煮立ってきたら火を弱めて5分程煮る。ねぎとしょうがを取り出す。

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  2. 温度を下げる

    酒と水(2/3カップ)を加えて温度を下げる(80℃位になる)。ゆで汁の温度は沸騰しない程度の弱火にして80℃位を保つ。

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  3. 肉をゆでる

    豚肉を1枚ずつ広げながら、4~5枚ずつ湯に入れる。

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  4. 取り出す

    色が変わった豚肉をバットなどに取り出し、室温で冷ます。残りも同じようにゆでる。

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●豚肉を室温に戻すと、脂が溶けて1枚ずつはがしにくくなるので、冷蔵庫から出したらすぐにゆでます。
冷ます間に余熱が入るため、早めに引き上げましょう。水っぽくなるので氷水にはとらず、自然に冷まします。

豚冷しゃぶと豆腐のサラダ

1人分:約220kcal 調理時間:約25分

材料4人分

  • 豚冷しゃぶ
    • 豚ロースしゃぶしゃぶ肉 300g
    • ねぎの青い部分 6cm
    • しょうがの皮 適量
    • 大さじ2
    • 5カップ
    • 水(温度を下げる用) 2/3カップ
  • 豆腐サラダ
    • 豆腐 2丁
    • みょうが 4個
    • 新しょうが 60g
    • 大葉 20枚
    • ごま油 大さじ2
    • 小さじ1
    • こしょう 少々

作り方

  1. 上記を参考に豚冷しゃぶを作り、水気を拭いて3cm幅に切る。

  2. みょうがは縦半分に切り、斜め薄切りにする。しょうがは皮のまま洗い、せん切りにする。大葉は縦半分に切り、重ねてせん切りにする。

  3. 2を冷水にさらしてパリッとしたら、水気をきる。

  4. ボウルに13を入れてごま油をふって混ぜ、塩、こしょうで調味する。

  5. 豆腐は大きめに切って器に盛り、4をのせる。