家庭菜園 記事一覧

野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

ハクサイ

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

水はけのよい畑を選び、たねまき時期を守り、外葉を大きく育てて結球させます。

 中国原産のアブラナ科の野菜で、生育適温は15~20℃と冷涼な気候を好みます。乾燥には比較的強いですが、秋の長雨などで畑の排水が悪いと根腐れを起こしやすくなるので、高畝にして水はけを良くしましょう。
 たねまき時期は早いと暑さにあって生育不良になり、遅過ぎると結球に失敗することがあるので、たね袋に書いてある品種に対応した地域ごとの時期を守りましょう。
 外葉が15枚以上、気温が15~16℃になると結球し始めます。外葉が多いと大玉になるので、肥料不足に注意して結球開始までに葉数を増やしておくことが大切です。ビギナーの方は、大玉ではなくミニハクサイから始めてみるのもいいですね。連作障害があるので、同じアブラナ科の野菜は2~3年あけてください。

たねまき

深さ1cmの植え穴を掘り、1ヵ所4~5粒の点まきにし、土をかぶせて軽くおさえ、たっぷり水やりします。泥はねや雑草対策などのためにマルチを張ると効果的です。

発芽・間引き

3~5日で発芽します。
本葉2~3枚で間引いて2本立ちにし、本葉4~5枚で1本立ちにします。

購入苗の植えつけ

本葉5~8枚の元気の良い苗を選び、植穴を掘ってたっぷり水やりをしてから植えつけます。根が細く切れやすいので、根鉢を崩さないように。土が乾いていたら、さらに水やりしましょう。

害虫対策

アブラムシやアオムシ、コナガ、ヨトウムシなどがつきやすいので、たねまき直後に防虫ネットや寒冷紗などをトンネルがけして防ぎます(ネットをかける時は土との間にすき間ができないように注意)。結球し始める頃までかけておくと安心です。

追肥・土寄せ

追肥は外葉が畑の全面を覆ってしまう前(たねまきの3~4週間後が目安)に、化成肥料(8-8-8なら50g、14-14-14なら30g、いずれも1m2あたり)を、株元から15cm程にバラバラとまき、株元に軽く土寄せします。クワで葉を傷つけると病気の発生を助長するので、外葉が茂る前に作業をしてください。ミニハクサイなら、追肥は不要です。

収穫

葉が十分に育ち、枚数が増えると結球してきます。大玉になり、頭の部分を手で押さえてかたく締まっているようなら、収穫適期です。株元を包丁などで切り取って収穫しましょう。日照や肥料の不足、乾燥、多湿などの影響で結球しない場合があります。結球しなくても食べられるので、トライしてみましょう。

防寒・貯蔵

結球が完了したら霜や雪で傷まないように外葉を紐などで縛っておくと、寒さに耐えて畑で年越しができます。

●土づくりワンポイントアドバイス

指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)

ハクサイの根は深く広く張ります。深さ1m、幅60cm程度にまで達します。また石灰が不足すると、結球の内側の葉の縁が褐色になり、腐敗したように見える「ふち腐れ症」が発生することがあります(見た目が悪いだけで食べられます)。土をやわらかくし、根張りを良くするために完熟堆肥2kg程度(前作で堆肥類を施用していれば1kg程度)と、ふち腐れ症の予防のために苦土石灰100g程度(石灰類をしばらく施用していない畑では200g程度、前作で施用していれば50g程度、いずれも1m2あたり)を、たねまきの2週間以上前に散布して、可能な限り深く耕しておきます。
ハクサイの元肥の量は、葉菜類の中ではやや多めです。これは外葉をすくすくと育てることで、どっしりと充実した結球が収穫できるからです。スタートダッシュが重要です。元肥は、たねまきの1週間前に、化成肥料(1m2あたり8-8-8なら200g、14-14-14なら100g)を散布し、土に混ぜ込みます。ミニハクサイの場合は、上記の量から3割程度減らしてください。


●ハクサイの栽培スケジュール

スケジュール

\皆さんの家庭菜園エピソード募集中/

野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

ブロッコリー

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

アブラナ科のキャベツの仲間で花蕾(からい)という開花前の蕾や、花茎を食べる野菜です

 生育適温は15~20℃。“春まき夏どり”と“夏まき秋冬どり”の作型がありますが、病害虫の心配が少ない夏まきが育てやすいです。たねからでも育てられますが、暑い夏場の管理が難しいので、購入苗を植えつけるのがおすすめです。
 植えつけ直後は台風や秋の長雨の時期と重なるため、湿害が出ないよう高畝にして水はけを良くしましょう。茎が高く伸び、葉も大きく茂ってくるので強風で倒れないように追肥のタイミングで株元にしっかり土寄せをします。心配な場合は支柱を立てましょう。
 主茎につく大きな花蕾が「頂花蕾(ちょうからい)」で、わき芽が成長して次々と出てくる花蕾が「側花蕾(そくからい)」。頂花蕾の収穫後、側花蕾を楽しめるのは家庭菜園ならではです。
 連作障害があるので同じアブラナ科の野菜は2年以上あけます。

植えつけ

本葉4~6枚のがっちりした苗を選びましょう。深植えにならないように株元が少し高くなるくらいに植えつけます。株元を手で押さえてからしっかり水やりします。

害虫対策

コナガやハスモンヨトウ、アオムシ、アブラムシなどがつきやすいので、防虫ネットや寒冷紗などをトンネルがけして防ぎま す。幼虫を見つけたらすぐに取り除きましょう。

追肥・土寄せ

定植4週間後頃、茎葉の成長が旺盛になったら、化成肥料を施用します(1m2あたり、8-8-8なら60g程度、14-14-14なら30g程度)。生育期間が長い冬どり栽培や、側花蕾を収穫する栽培では、頂花蕾が出始めた頃に、さらに2回目の追肥を同量施用します。茎葉や花蕾が成長すると、その重さで株が倒れやすくなるので、追肥と同時に株元に土寄せすると、倒れにくくなります。

収穫

頂花蕾の直径が10~15cmになったら、蕾が硬くしまっているうちに花蕾の下で切り取ります。収穫が遅れると蕾が膨らんで花が咲いてしまいます。

側花蕾の収穫

頂花蕾を収穫すると、わき芽が伸びて葉のつけ根にある側花蕾が次々と出てきます。品種にもよりますが500円玉くらいの大きさを目安に収穫しましょう。
側花蕾を楽しみたい場合は、頂花蕾を早めに収穫するのがコツです。

●土づくりワンポイントアドバイス

指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)

植えつけの2週間前までに、1m2あたり完熟堆肥1kgと苦土石灰100g(いずれも前作に施用していれば不要)を散布し、深く耕しておきます。元肥は植えつけの1週間前に、1m2あたり化成肥料(8-8-8なら100g、14-14-14なら50g)を散布し土に混ぜ込みます。


● ブロッコリー(夏まき秋冬どり)の栽培スケジュール

スケジュール

\皆さんの家庭菜園エピソード募集中/

野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

ピーマン

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

暑さや病害虫に強く、一株でたくさん収穫できる
初心者にも栽培しやすい作物

 トウガラシを改良して作られたナス科の作物で、生育適温は25~30℃と高温。遅霜の心配がなくなってから植えつけましょう。日当たり、水はけのよい場所を選び、植えつけ前にマルチを張り地温を上げると根張りがよくなります。苗が小さいうちは風で倒れやすいので、仮支柱で支えます。
 最初の花が咲いたら、側枝2本を残して3本仕立てにします。一番果がなったら本支柱に替え、一番果は早めに収穫して、株の成長を促します。実が次々なってきたら、内側の混み合う枝は切り落とし、風通しをよくします。
 収穫の目安は開花後15~20日くらい。早めに適度な大きさで収穫し、株の消耗を抑えて長く収穫を楽しみましょう。
 連作障害があるので、同じナス科の野菜は3~4年空けましょう。

植えつけ

苗は茎が太く、葉と葉の節間がつまったがっしりとした苗がよく、本葉が10枚程度で一番花の蕾が開き始めるくらいが植えつけ適期です。ポットごとバケツの水に浸けて十分水を吸わせ、根鉢を崩さないように取り出します。やや浅植えにして、根鉢が隠れるぐらいに土を寄せましょう。
50cm位の仮支柱を立てて、茎と支柱を8の字に結んで固定します。土が乾いたらたっぷり水やりしましょう。

整枝

最初の花が咲いたら、一番花の下の勢いの良い側枝(枝分かれ)2本を残し、それより下のわき芽はすべて取り除きます。

3本仕立て

一番果がなったら、長さ1m程の本支柱を立てます。2本の側枝がのびてきたらそれぞれ枝に沿って斜めに支柱を立てて3本仕立てにします。茎と側枝を固定し、実の重みで枝が倒れないよう支えます。土が乾いたら株元にたっぷり水やりしましょう。

追肥

一番果の収穫が始まる頃から、1m2あたり化成肥料(8-8-8なら40g、14-14-14なら20g程度)を、1~2週間に1回程度を基本に、枝の伸び方や果実の肥大の仕方を観察しながら、加減して施用します。鮮やかな緑色のピーマンを収穫するためには、追肥を切らさないようにすることがポイントです。

収穫

枝が折れやすいのでハサミを使って、こまめに収穫します。6~7cm大が目安。実がたくさん付いていたら、株を弱らせないよう摘果を兼ねて小さな実も採ります。終盤は赤く完熟させて甘みのあるピーマンを楽しんでもいいですね。

●土づくりワンポイントアドバイス

指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)

植えつけの2週間前までに、1m2あたり完熟堆肥2kg(前作で堆肥を施用していれば1kg)と、苦土石灰100g(前作で石灰類を施用していれば省略)を散布し、深く耕しておきます。ピーマンは根を深く張らせることで樹勢(茎葉の元気さ)が維持され、収穫を長く続けることができます。深く耕して根が深く張れるように土づくりしましょう。
元肥は植えつけの1週間前に、1m2あたり化成肥料(8-8-8なら200g、14-14-14なら100g程度)を散布し、これもやや深いところまで混ぜ込みます。


●ピーマンの栽培スケジュール

(プランターでも畑でも栽培できます)

スケジュール

\皆さんの家庭菜園エピソード募集中/

野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

キッチンハーブ

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

お茶やサラダに、肉料理の香りづけや臭い消しなど、ハーブは料理の味を引き立ててくれます。キッチンやベランダで育てれば、花の彩りや葉のグリーンを楽しめ、新鮮なハーブを必要なだけすぐに摘み取れます。

寒さに強く、ベランダや室内に置いて手軽に楽しめるハーブを紹介します。苗から育てるとすぐに収穫できますが、たねからの栽培も比較的容易に、間引きながら育てられます。大きめの鉢に寄せ植えすれば、いろいろなハーブが楽しめて便利です。

葉が混みあってきたら、こまめに摘み取って使いましょう。

冬におすすめのハーブ

⚫︎ミント類

寒さに強く丈夫。スッキリ爽やかな香りでスペアミントやペパーミントなどいろいろな種類があります。肉料理、麵料理、サラダのトッピング、スイーツの飾りなどに。

⚫︎ローズマリー

肉や魚、ジャガイモ料理との相性は抜群。たねから育てると時間がかかるので、苗や挿し木で育てるのがおすすめ。キッチンの窓辺など日当たりのよい場所で乾燥気味に育てましょう。

⚫︎タイム

肉料理の臭みを消し、コクと風味を与えます。ビネガーやオイル漬けなどにも。ベランダの風通しがよく日当たりのよい場所に置いて育てましょう。

⚫︎オレガノ

寒さや乾燥に強く丈夫。肉料理やトマトソースなどイタリア料理に欠かせないハーブです。根元から5cmくらいの所で切って乾燥保存して使いましょう。

⚫︎パセリ

料理の付け合わせに欠かせない定番ハーブ。葉が縮れたモスカールドパセリと平たいイタリアンパセリがあります。窓辺の日当たりのよい場所に置いて、水切れしないように管理しましょう。

用意するもの

好みのハーブのたねや苗
素焼きやプラスチックの鉢、プランターなど
ハーブ用の培養土
鉢底ネット、鉢底石(大きめの赤玉土など)、移植ゴテ(シャベル)
水差しや霧吹き、園芸用ハサミ

土入れ

鉢の底の穴に鉢底ネットを敷いて、深さの5分の1まで鉢底石を入れてならし、その上に培養土を入れます。


たねまき

細かいたねは古いハガキなどを使ってばらまきにします。薄く土をかけて霧吹きなどでやさしく水やりします。発芽するまで土が乾かないように新聞紙などをかぶせておくとよいでしょう。

間引き

発芽したら、混んでいるところを間引きます。本葉3枚くらいまで順次間引き、それぞれのハーブにあった間隔で1本立ちにします。

水やり

ハーブは多湿を嫌うので、土の表面が乾いたら、底から水が流れるくらいたっぷりあげましょう。冬場は暖かい日中に与えます。葉や茎に直接水が当たらないように根元にかけましょう。

1. 若い枝を7~10cm切り取る。

2. 切り口をナイフで斜めに切る。

3. 下の方の葉(3分の1程度)を取り除き、コップの水に1時間程浸けておく。

4. 土にさして水やりし、2~3日日陰に置いてから日当たりのよい場所で育てる。

5. 根がでてきたら別の容器に植えつける。


タイム、セージ、バジル、ローズマリー、ミント、レモンバームなどは挿し木で増やせます。

\皆さんの家庭菜園エピソード募集中/

野菜の育て方

ビギナーに人気!季節に合わせた家庭菜園

ホウレンソウ

イラスト◎かとうともこ 監修◎山崎弘一郎

寒さに強く暑さに弱いので、秋まき冬どりの栽培がおすすめです。
たねまき前には土の酸度調整をして、水はけのよい畑で育てましょう。
サラダホウレンソウや寒締めに適した品種も楽しめます。

 生育適温は15〜20℃と冷涼な気候を好み、0℃以下の温度にも耐えられますが、25℃以上になると生育が悪くなります。
 酸性土壌を嫌うので苦土石灰などを用いてpH6〜7に酸度調節します。ホウレンソウは移植を嫌う直根性なので、必ず畑に直まきして育てましょう。また、花芽が伸びてしまうトウ立ちは昼間の長さ(日長)が長くなると起こるため、街灯などで夜間でも明るいと日照時間と勘違いしてトウ立ちが進むので、栽培場所にも注意しましょう。
 アクが少なく生食できるサラダホウレンソウや、肉厚で冬の寒さにあてて育てると甘味の増す寒締めホウレンソウに適した品種などがあるので、栽培時期に合わせていろいろ楽しむことができます。さらに、たねまきの時期を少しずつずらせば長期間収穫することもできます。
 連作障害があるので、同じ畑での栽培は1〜2年あけましょう。

たねまき

深さの一定な1~2cm程のまき溝を作り、たねは1~2cmの等間隔で重ならないようにすじまきします。土をかぶせて表面を平らにならすように軽くおさえ、たねが流れないようにやさしくたっぷり水やりしましょう。

発芽・間引き

5~7日で発芽します。本葉1~2枚になったら葉と葉が重なりあわないように間引き、株間3cm程度にします。本葉3~4枚で株間6~7cmに間引きます。株元に軽く土寄せをしましょう。

ヨトウムシやアブラムシなどは秋でも活発なので、たねまき後は不織布や防虫ネットをかけて防ぐとよいでしょう。また、不織布のベタがけは、気温が低下してきた時にも効果があります。

追肥

通常は不要ですが、冬越しさせた場合には、成長が再開する春先に化成肥料(8-8-8)を1m2あたり50g程度散布してください。

収穫

草丈が20cmを超えて25cmくらいまでに収穫します。株ごと抜き取るか、ハサミやナイフを使って根元を切って収穫しましょう。

●土づくりワンポイントアドバイス

指導:岡本 保(元JA全農 肥料研究室技術主管)

ホウレンソウは酸性土壌を嫌う作物の代表格です。また根張りが深く、直根は1m以上の深さにまで伸びます。酸性土壌改良のための苦土石灰1m2あたり100g程度(石灰類をしばらく施用していない畑では200g、直前作で施用していれば50g程度)と、土をやわらかくし根張りを良くするための完熟堆肥1kg程度を、たねまきの2週間以上前に散布し、できるだけ深く耕しておきます。
元肥は、たねまきの1週間前に、化成肥料(8-8-8)1m2あたり100~150g(気温の低い時期の栽培ほど多めに)を散布し、土に混ぜ込みます。


●ホウレンソウの栽培スケジュール

(ベランダでも畑でも栽培できます)

スケジュール

\皆さんの家庭菜園エピソード募集中/